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【インタビュー  早期発見でほとんどが助かる大腸がん。内視鏡検査が最善策 第3回 新宿大腸クリニック 後藤利夫院長】

まったく痛くない大腸内視鏡検査「水浸法」、国内外で実践する医師も増加中!

先端から水が出るしくみ

 新宿大腸クリニック・後藤利夫院長の内視鏡検査は痛くない。だから、鎮静剤を打つ必要がない。さらに、多くの場合3分以内には、肛門から入れたスコープが一番奥の腸まで到達するという早技だ。当然、検査を受ける人の負担は少ない。

 大腸にスコープを挿入すると最終的には数字の「7」のような形になる。下が肛門で、左横の垂れ下がった先が盲腸である。といっても最初は萎んだ風船のようにしわしわして自由な形をしている。

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 一般的な大腸内視鏡検査では、最初に約2リットルの空気を大腸内に入れるため、萎んだ風船は膨らんでしまいなかなか7の字の形にならない。この中を先端にカメラなどが装着されたスコープの管を入れていくのだが、スコープを押せば押すほど腸は伸びて7の字から遠ざかり、さらに押すのでスコープが腸壁に強く当たり痛みを感じることがある。

流しそうめんのように、するするとスコープが入っていく「水浸法」

 いっぽう後藤院長の「水浸法」は、空気は入れない。スコープの先から少しずつ水を出すことで、萎んだの腸の内側を広げながら、進んで行くのだ。

 「流しそうめんみたいなものです。もし、水がなかったら、そうめんはなかなか流れません。しかし水があることで、摩擦が減り浮力を得て、するすると流れていく。水浸法もこれと同じで、スコープを腸内に滑らかに挿入することができます」

 先端から水が出る装置は、後藤院長が独自に開発したもので特許を取得している。またスコープは、管の太さや固さが違うものを何種類か常備し、検査を受ける人に合わせて使いこなしているというから驚きだ。

 まさに極上クラスのこの検査は、だいたい15分ぐらいで終了し、料金は保険が適用され4~5000円程度だ。3年から5年に1度のことなので、それほどの負担感はない(ポリープをとったり、そのポリープを病理検査に回す場合は別途)。また、検査当日は、前もって送られてくる下剤を飲み、家で腸を空にしてから来院する必要があるので、1日がかりにはなる。

乳酸菌の本も出版。大腸がん撲滅の戦いはまだまだ続く

 この「水浸法」を学ぶ医師は海外からの研修生も含め増えており、後藤院長は、現在、教科書を執筆中である。

 「キューバの国立病院に指導にでかけたこともあります」と、自分だけの秘技にとどめず、多くの医師が使える技術として普及に努めている。さらに、大腸がん撲滅の悲願のためには、それだけでは足りないと、一般書も数多く出版している。

「現在、大腸内視鏡検査を受けるのは4分の1、つまり25%ぐらいの方です。残りの75%の方たちにいかに検査を受けてもらうか? と考えて2001年に初めて、大腸がんの本を出しました。(『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』祥伝社) その後、便秘に関する本(『腸をきれいにする特効法101』主婦と生活社)も出して、より多くの方々に大腸に興味を持ち、大腸内視鏡検査を受けてもらえるように努力しています」

 さらに後藤院長は、検査を受けない人の、がん予防にも心を砕き、乳酸菌関連の本(『あなたの知らない乳酸菌力』小学館)も世に出している。

「これは検査を受けない人たちに向けた本で、腸内の乳酸菌など善玉菌を優勢にし、腸内環境をよくして、がんを予防していただきたいという願いから生まれたものです」

 後藤院長と大腸がんとの戦いは、これからも続いていく。

後藤利夫院長インタビューバックナンバー

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