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"ハゲ"が前立腺がんの死亡リスクを高める? 男性ホルモンが影響している可能性

この頭と前立腺がんと関係が!?shutterstock.com

 日本では何かと否定的に捉えられがちだが、欧米ではセクシーとみなされることもあるという"ハゲ"。その主な原因は男性型脱毛症だ。近年では、この男性型脱毛症と前立腺がんリスクの関連性に関する研究が行われている。

 2015年4月、男性型脱毛症と前立腺がんの死亡リスク増加の関連性を示した研究結果が、フィラデルフィアで開催された米国癌研究会議(American Association for Cancer Research)で発表された。

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 この分析は、皮膚科医の判定により"脱毛なし""軽度""中等度""重度"に分類された25歳~74歳の4000人超の米国人男性を対象に行われた。調査対象期間の21年間で、脱毛症の男性はその重症度に関係なく、脱毛症ではない男性に比べて前立腺がんの死亡率が56%高かった。さらに"中等度"の男性では、"脱毛なし"に比べて同死亡率が83%高かった。

 研究者によると、この結果は"共通する生物学的プロセスが、男性型脱毛症と前立腺がんの両方に影響を与えている"という仮説を支持するものだという。一説では、高レベルのテストステロンなどの男性ホルモンが両疾患に関与しているということだ。すでに、男性型脱毛症の人は男性ホルモン値が高いということが判明しており、これらのホルモンは前立腺がんの細胞の増殖も促している。

 しかし、研究著者である米国立癌研究所(National Cancer Institute)博士研究員のシンディ・ツォウ氏は、次のように話す。「この研究結果から、前立腺がんに対する男性スクリーニングに関して何らかの提言を行うのは時期尚早。ここで得られた結果を再現するために、今後もさらに研究が必要になるだろう」

特定の脱毛パターンが前立腺癌に関与したという報告も

 仮にこの研究結果が裏付けられた場合、前立腺がんの発症リスクのひとつの指標として、男性型脱毛症が活用されるようになるかもしれない。また、前立腺がんスクリーニングを受けるべき対象者を決定する際にも役立つだろう。

 ツォウ氏は「まずは、男性の脱毛症を危険因子として加えたことで、前立腺がんリスクの予測精度が現状よりも実際に高まることを示す必要がある」と指摘する。

 過去にも、男性型脱毛症と前立腺がんの関連性に関する研究がいくつか行われている。2014年9月には、Journal of Clinical Oncology 誌で、45歳時に前頭部と頭頂部に中等度の脱毛があった男性では、同年齢時に脱毛がなかった男性に比べ、その後の悪性前立腺がんの発症リスクが40%高かったと報告された。他の脱毛パターンと前立腺がんリスクに有意な関連性は見られなかった。

 また、2011年にはAnnals of Oncology 誌において、20代で脱毛が始まる男性は、そうでない男性よりも前立腺がんのリスクが高いという研究報告があったが、今回の研究では、年齢に関わらず脱毛症と致死性の前立腺がんとの間に関連性があることが分かった。

 なお、この研究では重度の脱毛症と致死性の前立腺がんリスク増加との関連性は示されていない。これは重度脱毛症の対象者数がわずかだったため、研究で関連性を見出すことができなかったからだという。(参考:FOX NEWS)
(文=編集部)

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