MENU

【連載第5回 -5歳を実現する、50歳からのエクササイズ】

"あぐら"できますか? 増えている股関節の機能不全が不調を招く!

 「胡坐(あぐら)」ができますか? ヨガの座り方の基本となる「あぐら」。この姿勢をとることがつらいという人が増えています。しかし、そんな人でも昔はできていたはず。

 日本人の多くが、畳の生活から床、椅子をメインとする生活様式に移り、あぐらをかく場面が日常の中で少なくなりました。そして、いつの間にか「あれ、あぐらができない......」ということに気づきショックを受けます。そこで初めて、自分の股関節の硬さに気づくようです。

[an error occurred while processing this directive]

 あぐらをかけない人は、股関節が開きにくく膝が立ってしまうため、骨盤を立てられません。骨盤を起こして保つには、腰背部の筋肉を強く収縮し続けねばならないため、次第に負担が大きくなって腰に痛みが生じることがあります。

 あぐらができない原因は、大きく考えて2つあります。

 まず一つ目は、股関節自体が変形を起こしている場合です。股関節は骨盤と太ももの骨の結合部分ですが、ここが変形を起こしていると股関節そのものに痛みが生じます。痛みが気になる場合は、整形外科の受診が必要です。

 次に考えられるのが、股関節周囲の筋肉の問題。あぐらは、股関節を開くこと(股関節の外転)と曲げること(股関節の外旋)を同時に行います。股関節を取り巻く筋肉の柔軟性不足や拘縮などが原因となり、骨盤に歪みが生じ、「開く」「曲げる」という動作がうまくできていないのです。

体の最も大きな"蝶番"が働かず腰の筋肉が常に緊張

 股関節の不調は、周りの筋肉に無理させて腰に負担をかけます。あぐらに限らず、腰は丸まる傾向にあるので、腰の筋肉は常に緊張を強いられた

 股関節は、骨盤の左右にある「寛骨」の下の「臼蓋」という窪みに、太ももの骨(大腿骨)の上部にある大腿骨頭という球形の部分がはまるような構造になっています。この構造によって、「開く」「曲げる」という動きはもちろん、前後左右や回旋などのとても自由度の高い動きが可能になるのです。

 股関節は稼働の自由度が高い反面、結合部の骨格的なつくりは決して強固ではありません。床からの立ち上がり時には、体重の10倍の重さが股関節にかかるといわれています。その負荷の割には、骨盤と大腿骨の接合部はとても小さいのです。

 そこで、この関節を安定させ大腿骨と骨盤が離れないようにするために、関節の上にはたくさんの靭帯が付着し脱臼が起こりにくい構造になっています。靭帯の上にはさらに複数の筋肉が取り巻き、ダイナミックな動きを助けます。しかし、その筋肉も機能が低下すると、体の最も大きな"蝶番"が正しく働きません。

 股関節の不調は、周りの筋肉に無理させて腰に負担をかけます。あぐらに限らず、腰は丸まる傾向にあるので、腰部の筋肉は常に緊張を強いられた状態が続くのです。

 また、股関節が硬いと足が上がりません。スムーズに足が上がらないと、太ももやお尻の筋肉が衰え、代謝も下がって脂肪がつきやすくなります。下半身の血行も不良になり、リンパも滞って老廃物が流れない。いわゆるセルライトもできやすく、体の不調につながります。

どこでもできる血流アップ・脚スッキリの股関節ストレッチ

太もも裏がピーンと張るような感じ

 こんなに重要な働きをもつ股関節。「日常生活に不便を感じない」など言わずに、股関節周囲の筋肉をほぐし、柔軟性を高めるストレッチを行って機能維持・改善に努めたいものです。

 そこで、どこでもできる簡単な股関節ストレッチを紹介します。座りっぱなしのときや、一日の終わりに行うと、血流がよくなって脚がすっきりするでしょう。

 ポイントは ①つま先を天井に向ける、②骨盤(へそ)を伸ばした脚と同じ方向に向ける(逃がさない)、③へそを太ももに近づけるイメージで骨盤を前方に倒す。

 注意する点は、背中を丸めて前に倒れないこと。太もも裏がピーンと張るような感じが得られれば、そのまま10秒間キープ。3セット行いましょう。


連載「-5歳を実現する、50歳からのエクササイズ」バックナンバー

関連記事
アクセスランキング