なぜ菅政権はコロナに負けたのか?
過去最大の感染爆発が日本を襲う中、原則無観客で開催された東京五輪は続行され、8月8日ようやく閉幕したが、感染拡大はとまらず、東京都の感染者数は8月13日に過去最多の5773人を記録した。悲惨な医療崩壊まで起こしているのに、パラリンピックが同24日から強行された。パラアスリートの中には健康上のリスクを抱える人もいる。160の国・地域から障害を持つ人々が感染爆発の東京に、リスクを冒してやってくる必要がどこにあるのか。延期し、観客を入れた正式な形での実現を目指すべきだった。
衝撃の横浜市長選と退陣劇
一方、菅首相にとって衝撃的な事件が起きた。8月22日投開票の横浜市長選で、菅首相が強力に推した自民党の小此木八郎元国家公安委員長が、立憲民主党推薦の元横浜市立大教授・山中竹春氏に18万票の差をつけられて惨敗した。それも、負けた理由はコロナ問題が争点となった終盤で菅首相の評判の悪さが小此木氏にマイナスに働いたことだという。菅首相の選挙区がある横浜市での敗北はその力が地に落ちたことを満天下にさらしたことになる。
自民党総裁選の日程が同26日、「9月17日告示・同29日開票」と決まり、岸田文雄前政調会長が立候補を表明した。党の役員人事について「若手・中堅登用し、任期1年3期まで」とする公約を掲げた。安倍・麻生連合が嫌い、党内でも評判が芳しくない二階幹事長の退場を促す狙いだった。
総裁選への出馬を以前から表明していた菅首相は、注目を集める岸田氏に対抗し、二階幹事長の交代を含む役員人事を行い、総裁選を飛ばして解散総選挙に打って出ることを検討。この動きがマスコミで報じられると、党内から猛反発が起き、安倍首相からもダメ出しされた。役員人事だけでもやる構えだったが、党内でも人心が離れ、9月3日、総裁選不出馬に追い込まれた。