ネットでの楽しい経験も「うつ病」リスクを減らさない
今年6月6日号の「Depression and Anxiety」に掲載された論文によると、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などでネガティブな発言に接する経験が多い人は、「うつ病」になりやすい可能性のあることが、米国の約1200人の大学生を対象とした調査で明らかになった。
その一方で新たな事実も判明した――。オンライン上で楽しい経験をしても「うつ病のリスクはほとんど低減しないことも示された」というのだ。
[an error occurred while processing this directive]ネガティブな発言に接する頻度が増えると抑うつ症状が
今回の調査の対象は、2016年に米ウエストバージニア大学に通っていた18~30歳の学生1179人。平均年齢は20歳で、女性が62%、白人が72%を占め、約半数が独身だった。研究者らによれば、一般にソーシャルメディアを利用する人の約83%は、この年齢層が占めるという。
参加者には、ソーシャルメディア上で「ポジティブ」あるいは「ネガティブ」な発言や情報に接する頻度を尋ねた上で、質問票の回答から抑うつ症状の有無を評価した。
その結果、ソーシャルメディア上でネガティブな発言に接する頻度が10%増えると、抑うつ症状が現れるリスクは有意に上昇することがわかった(調整オッズ比は1.20、95%信頼区間1.11~1.31)。
一方、ポジティブで楽しい経験の頻度が10%増えても、抑うつ症状が現れるリスクは4%減る程度にとどまっていた。