血管の老化こそ多くの病気の原因(depositphotos.com)
「人は血管とともに老いる」。医学の暗黒時代の19紀に現代医療の基礎を築いた名医ウィリアム・オスラー博士の強い警告は真理だ。このところ注目を集めている「ゴースト血管」もこの言葉と深い関係がある。
体内最大の臓器、血管は心臓から出る血液を送る動脈と心臓へ戻る血液を送る静脈、さらには細動脈と細静脈をつなぐ毛細血管(capillary vessel)からなっている。
[an error occurred while processing this directive]全身の血管のおよそ99%が毛細血管
毛細血管は、動脈と静脈をつなぎ、およそ100億本が全身に網の目のように張りめぐらされている。全身の血管のおよそ99%を占め、酸素、栄養素、ホルモン、体温、水分、白血球の輸送路になり、不要な二酸化炭素や老廃物の回収路になる。
毛細血管の全長は約9万9,000㎞(地球2周半の長さ)。直径約0.01mm(髪の毛の10分の1)の肉眼で見えない超極細血管なので、赤血球が1列に並んでやっと通れる太さしかない。だが、約37兆個の細胞と0.03mm以内の超至近距離を常に保っている。
毛細血管の壁は「内皮細胞」と薄い「基底膜」からなり、この2層が酸素と二酸化炭素の代謝交換を行う。
「内皮細胞」の外側に点在する「周皮細胞」は、血流を調節している。毛細血管に損傷が生じると活性化し、コラーゲンをつくり、傷を修復したり、新しい血管をつくるのも、「周皮細胞」の重要な働きだ。
毛細血管は、安定した構造をしているものの、致命的な欠点がある。
加齢、活性酸素、ストレス、生活習慣の乱れなどの影響を受けると、脆くなり、壊れやすくなるからだ。