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猫からの感染症で60代女性が死亡 厚労省「ペットとの濃厚な接触は避ける」よう注意喚起

国内で始めて猫からの感染症で60代女性が死亡(depositphotos.com)

 犬や猫などから人間にうつる人獣共通感染症の「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」による死者が国内で初めて確認された(「産経新聞」208年1月15日)。

 「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」は、家畜やペットの動物が持つ「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に感染して起きる。喉の痛みや咳など風邪の症状があり、重症化すると呼吸困難で死亡するリスクもあるが、人から人に感染するのは稀だ。病態は、予防接種の効果で日本ではほとんど患者がいない感染症「ジフテリア」に似ているが、抗菌薬によって治療できる。

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国内では1991年に初めて報告され、これまでに25人が感染

 厚労省によると、この感染症で死亡したのは、2016年5月に呼吸困難で救急搬送され、3日後に急死した、福岡県の60代の女性。血液から「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」が検出された。女性は3匹の猫に屋外で餌をやっていたことから、感染が疑われている。

 国立感染症研究所によると、この感染症は国内では2001年に初めて感染例が報告され、北海道から九州まで25人の感染例がある。英国でも数十例の報告があり、死者も出ている。ただ、国内では感染症法に基づく届け出義務がない珍しい感染症のため、発症が見逃されやすい。

 厚労省は1月、日本医師会、日本獣医師会、自治体に対して情報提供を行い、発生があった場合は厚労省に情報提供するよう通知。国民に「ペットとの濃厚な接触は避け、体調が悪くなったらすぐに医療機関に行ってほしい」と注意を呼びかけている。

濃密な接触を控えながら予期しない感染に注意しよう

 同一の病原体によって、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症、それが「人獣共通感染症(ズーノーシス:zoonosis)」だ。感染している動物との直接接触や、動物の糞や毛垢などを介して再感染が起きる。

 人獣共通感染症の問題点は何か? 第1点は、森林伐採、宅地開発、都市化などによって、ヒトの生活圏が拡大し、野生動物と接触する機会が増えたこと。第2点は、気候風土、生態がよく知られていない海外の多種多様な動物が、ペットとして輸入され、飼われる機会が増えたこと。

 このような希少な動物との遭遇や接触によって、ヒトが免疫を獲得していない未知の病原体が新興感染症として出現したために、診断や治療の方法がなく、感染症を引き起こす危険性が高まり、予防や制圧が困難となった。たとえば、2003年に出現した重症急性呼吸器症候群(SARS)がその好例だ。

 1980年に撲滅宣言が出された唯一の感染症である天然痘は、痘瘡ウイルスがヒトにのみ感染して発症したが、終生免疫を確立したワクチンの開発に成功したので、克服の道が切り開かれた。

 一方、人獣共通感染症である狂犬病ウイルスは、全ての哺乳類に感染するため、ワクチン接種を徹底できない。また、ネズミなどの小動物は、家屋などに容易に侵入し、感染源となるので、予期せぬ接触による感染が避けにくい。

 また、厚生労働省は、「人獣共通感染症」ではなく、「動物由来感染症」という呼称を使っている。だが獣医学者らは、動物は汚いものという意識を植え付け、ヒトから動物への感染(ヒト由来感染症)による動物への被害もあるため不適切だと指摘する。ヒト由来の抗生物質耐性菌による動物への被害が広がっているからだ。

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