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口からPM2.5!? iQOS(アイコス)glo(グロー)Ploom TECH(プルーム・テック)で報告

日本呼吸器学会が「新型タバコ」に警告(depositphotos.com)

 江戸いろはかるたに「三遍回って煙草にしょ」がある。「休むのは後回しにして、念には念を入れて確かめよ」という戒めに読める。

 「新型タバコは推奨できない」――。何度入念に確かめても、体に悪いものは悪い! そんな強い語気が聞こえてきそうな警告が発せられた。発信人は呼吸器疾患の総元締めである日本呼吸器学会だ。

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 2017年10月31日、日本呼吸器学会は「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する見解」を公式サイトで発表。

 「新型タバコ(非燃焼・加熱式タバコ、電子タバコ)は、燃焼式タバコに比べてタール(タバコ煙中の有害物質のうちの粒子成分)が削減されているが、依存性物質であるニコチンやその他の有害物質を吸引するため、喫煙者にも受動喫煙者にも推奨できない」と表明した。

「体内に有害物質が取り込まれているのは明らか」

 新型タバコの使用と各疾患や死亡リスクとの関連性は明確ではない。

 だが、同学会は「科学的根拠が得られるまでには、かなりの時間を要するものの、体内に有害物質が取り込まれているのは明らかだ。新型タバコの受動喫煙による健康リスクも、科学的根拠を得るにはかなりの時間を要するが、受動喫煙の危険がないととする主張には根拠がない」と糾弾している。

 日本呼吸器学会がこのような批判を緊急表明した背景には、わが国における新型タバコの急速な普及に伴って、国民の健康への弊害や社会的影響に強い憂慮を表明したかったためと推察できる(*参考:日本呼吸器学会公式サイト)。

「加熱式タバコは危険性」を立証

 刑事訴訟法の大鉄則は「疑わしきは被告人の利益に」だが、喫煙の「疑わしき」は万人に利益をもたらさないどころか甚大な害悪を及ぼすリスクが極めて高い。

 しかし、「加熱式タバコは危険!」とする研究が新たに加わった。産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室教授の大和浩氏は、第58回日本肺癌学会(2017年10月14~15日)で、加熱式タバコが有する危険性について報告しているのだ。

 近年、急速にシェアを拡大しつつある加熱式タバコは、「煙が出ない」「ニオイが少ない」などの良いイメージが喧伝され、紙巻きタバコよりも安全な印象を与えかねない。「紙巻きタバコはNGだが、加熱式タバコならOK」の飲食店もあるほどだ。

 しかし、国立保健医療科学院の調査によれば、加熱式タバコは、ニコチンはもちろん、紙巻きタバコが含有する発がん性物質(タバコ特異的ニトロサミン、多環芳香族炭化水素類、ホルムアルデヒドなど)が含まれている。

 産業医科大学産業生態科学研究所の大和教授は、国内で入手できる「iQOS(アイコス)」「glo(グロー)」「Ploom TECH(プルーム・テック)」の3つの加熱式タバコを被験者に使用させ、煙の可視化を試みた。

 その結果、いずれの加熱式タバコも、口からエアロゾル(ミスト)が呼出され、2~3mの距離までエアロゾルが飛散することが確認された。エアロゾルの濃度は口元30cmの測定でPM2.5(2000μg/m3)に達した。

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