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【連載「歯科医療の革命~顕微鏡歯科治療」第2回】

顕微鏡医学の歴史〜歯科での顕微鏡の使用は根管治療からスタート

顕微鏡医学は歯科でも広がりを見せている(depositphotos.com)


 小学生の頃に虫メガネで草花や昆虫を観察して、肉眼では見ることのできない、その精緻な構造を知り興奮した覚えが誰しもあると思います。ヒトには「見えないものを見てみたい」という欲求があるようです。

 今回は顕微鏡の歴史を紐解いてみます。

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顕微鏡医学の歴史

 顕微鏡を最初に作ったのは、17世紀半ばのオランダ人、アントニ・ファン・レーウェンフックと言われています。ガラス玉を用いた簡単な構造ながら、その倍率は数百倍に達し、それまで見ることのできなかった微生物の存在を明らかにしたため、「微生物学の父」と呼ばれています。

 肉眼では見えない生物が存在している! 当時の常識からすればあり得ない微生物を見たレーウェンフックはさぞや心踊る思いだったでしょう。

 その後、顕微鏡は進化を遂げ、1920年代に耳鼻科の手術に使われ始めます。微生物が原因で生じる病気に対峙していた医者が、顕微鏡で体の中を見ようとすることは必然だったと言えましょう。

【写真1】OPMI1(Carl Zeiss社)

 【写真1】は1953年世界最初に商業的に販売された手術用顕微鏡であるOPMI1(Carl Zeiss社)です。この製品は産婦人科での使用を期待して作られたのですが、当時の産婦人科医にはその有用性を認められず、耳鼻科での普及が進み、その絶大な効果が知られることになりました。

 その後、婦人科、眼科、脳外科と医科領域全般で使われるようになり、それぞれの分野で診査、手術のレベルを飛躍的に進歩させてゆくことになります。

 当時、顕微鏡を用いる効果を「これは防腐、無菌、麻酔の導入によって手術が大きく変わったことに匹敵します」(アドルフミールケ:著、田中博之&田中紀久子:訳『マイクロサージャリーの歴史』より引用)と評されました。そして現在は顕微鏡なしでの手術は考えられないほどに普及しているのです。

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