脂肪を落としたいなら早朝に有酸素運動を(depositphotos.com)
ボディラインが気になる薄着の季節――。「無理なくやせる」には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が最適だといわれている。
しかし「頑張っているつもりなのに、ちっともお腹が凹まない……」というお悩みはよくあるもの。食事に気を使わず何となく有酸素運動をするだけでは、体についた脂肪はなかなか落とせないのだ。
[an error occurred while processing this directive]実は24時間のエネルギーバランスが保たれている状態、つまり「エネルギー消費量=摂取量」である場合は、運動をしてもしなくても24時間で体脂肪が燃える総量は変わらない。
それはどういうことなのか? まず運動をしている瞬間に限定すれば、脂肪が脂肪酸に分解されてエネルギーとして合成され、消費される「脂質酸化量」は増大している。しかし、運動を終えた後は、反対に脂質酸化量が減ってしまい、24時間の総量では差がなくなってしまうことが過去の研究からわかっている。
つまり、運動をすることで1日のエネルギーバランスを負(消費量>摂取量)に抑えなくては、脂肪燃焼を促進することはできない。運動で消費した分のエネルギーを食事で摂ってしまえば、脂肪燃焼に関しては運動していないのと一緒なのだ。
朝イチの運動で1日の脂肪酸化量が増える
しかし「食事制限もしないと効果がないのか?」とがっかりするのはまだ早い。エネルギーの収支をマイナスにしなくても、運動するタイミングを朝食前にすれば、24時間の総脂質酸化量を増やせることが最近の研究でわかっている。
研究を実施したのは、筑波大学運動栄養学の徳山薫平氏らのグループ。詳細は『PLOS ONE』7月10日オンライン版に掲載された。
これまで同氏らは健康な男性を被験者にし、夕食を抜いた翌日の運動で、どれだけ総脂肪酸化量が増えるかという実験を行っている。その結果、「朝食前に運動をすると、朝食・昼食・夕食を取った後に運動した場合に比べて、運動後24時間の総脂肪酸化量が大きく増える」ことが示唆された。
そこで今回は健康な女性を対象に、再び朝食前の運動が24時間の総脂肪酸化量に及ぼす影響を検討した。参加者は、普段から中強度の運動をしている健康な女性9名(平均年齢23.9±1.3歳、平均体脂肪率26.9±1.2%)。
試験初日の22時に代謝測定室に入室してもらい、就寝時間は23時~翌朝6時。翌日に朝食(8時)、昼食(12時)、夕食(18時)を提供し、総エネルギーは参加者の24時間エネルギーバランスを保つように設定した。
そして参加者には、6時30分から「60分間のトレッドミル走行を最大酸素摂取量50%に相当する強度で行う」、もしくは「座って安静にする」のどちらかをランダムに行ってもらった。
その結果、朝食前に運動を行うと、「座って安静」にしていた場合と比較して24時間のエネルギー消費量だけでなく、総脂肪酸化量が増大することがわかった。今回の場合は、「運動をした人が519±37kcal/日」だったのに対して、「座って過ごした人は400±41kcal/日」だった。
また、相対的な24時間エネルギーバランスの変化は、前日の夕食から間の空いた朝食前に減少がみられた。24時間エネルギーバランスが最も低下した時の値は、座って安静にしていた時(-124±4kcal)よりも運動した時の方が大きかった(-507±20kcal)。
この結果から研究グループは「過去の検討の結果と合わせて、一時的にエネルギーバランスを大きく負にするようなタイミングで運動を行うと、24時間の総脂質酸化量を増やせる可能性が示唆された」とコメント。
ただし「朝食前の運動を継続した場合に効果が持続するのかどうかは、今後検討する必要がある」と述べている。