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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第34回】

きれいな花には毒がある!「ニラ」と間違えて「スイセン」を食べて食中毒による死亡例も!

左がニラ、右がスイセン(depositphotos.com)

 前回は、有毒植物であるイヌサフランを食用植物であるギョウジャニンニクと見誤って食べてしまい、食中毒となり、最悪のケースでは死亡例も認められた論文を紹介した(参考:ギョウジャニンニクに酷似した「イヌサフラン」による食中毒で今年も死者が!)。

 同じように、美しい花を咲かせるスイセンでも、深刻な食中毒被害が頻発している。

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 2016年5月、北海道の胆振地方で、60歳代の男性が自宅敷地内に生えていた植物をニラと思って食べた。食後嘔吐、下痢を認めたため病院を受診した。しかしその2日後に不幸にして死亡。その後の検索で、食した植物から有害物質であるアルカロイド(ガランタミン)が検出されたため、この患者は、ニラと間違えて食したスイセンによる食中毒と診断された。

 また以前には、北海道美瑛町で誤ってスイセンを食べた9人の女性が、嘔吐、下痢などの消化器症状や頭痛を訴えて、病院に入院した。幸いにも病状は軽く、命に別状はなかった。

 また同年には、石川県の農産物直売所で購入したニラにスイセンが混入しており、それを調理して食べた後に嘔吐、下痢、頭痛などの症状を発症したが、命に別状はなかった。後に生産者がニラの近くでスイセンも栽培しており、両者を一緒に収穫し、出荷したのが原因と判明した。

 2008年には、茨城県の小学校で学校の菜園で収穫したニラの中にスイセンが混在しており、みそ汁にして食した後に10余人が中毒症状を呈した。

 厚生労働省の調査によると、2008年より15年までのスイセンによる食中毒が30件発生しており、実に摂食者115人中95人(82.6%)が患者として治療を受けている。死亡例は少ないが、頻繁に発生する植物中毒である。

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