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【連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第26回】

体幹やコアトレーニングが腰痛に効くのは本当?インナーマッスルは「自然のコルセット」

腹横筋は体の<自然のコルセット>(depositphotos.com)

 「体幹トレーニング」あるいは「コアトレーニング」は、近年よく耳にする言葉だ。どちらも、ほぼ同じ意味である。このようなトレーニングを腰痛対策に用いるのが、最近の流行りだ。

 体幹トレーニングやコアトレーニングが腰痛に有効であるという本やウェブサイトを、あなたも見かけたことがあるだろう。

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 しかし、腰痛に体幹トレーニング(あるいはコアトレーニング)が有効であるかは、実はまだはっきりとしたエビデンスは示されていない。他の治療法とあまり差がないという論文もいくつかある。

 だが、腹横筋をはじめとする体幹のインナーマッスルを使えるようになることは、しなやかな体の動きを手に入れやすくし、ウエストを引き締めるには、確実に有効だ。

 今回は、体幹トレーニングの中で基本となる腹横筋について述べる。しかし、それがそのまま腰痛対策となるわけではないことを、あらかじめ念押ししておきたい。

腹横筋は体の自然のコルセット

 腰痛が改善するかどうかはさておき、腹横筋を使えるようになることは、美容の上だけでなく、身体能力の向上として確実に意味がある。

 腹横筋は「腹」という漢字がついている通り、腹筋に含まれる筋肉の一つ。だが、皆がよくイメージしているような腹筋とは少しちがう。たとえば、腹横筋をいくら鍛えても、いわゆる「腹筋が割れる=シックスパック」にはならない。

 シックスパックになる筋肉は、アウターマッスル(外側にある筋肉)である「腹直筋」だ。

 腹横筋は、その漢字の通り「お腹を横断するようについている筋肉」で、一番深層に位置している。そのため、私たちが腹横筋を意識できる機会は少ない。

 腹横筋の働きの一つに「腹腔内圧を高める」があり、このことは「お腹を凹ませる」ことにつながる。腹腔には内臓などが配置されており、腹横筋が働くことで内臓を元の位置に正しく収めるお手伝いをしている。

 ちなみに腹横筋が働いていないといわゆる「胃下垂」のようにお腹の下部のみ出ているようなような見た目になってしまう可能性がある。あなたの周りにもいないだろうか? 

 この腹横筋は「コルセット」のような役割を持っていると考えればイメージがしやすいかもしれない。腹横筋は体の<自然のコルセット>である。

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