星野源さんのCM「ウコンの力」はプラセボ効果?(画像はハウス食品「ウコンの力」の公式HPより)
カレーの原料と言えばウコン(ターメリック)だ。本場インドでは傷薬や虫刺され、スパイスや染料、がんにも効くと昔から伝承されている。
さらに、星野源さんのCM「ウコンの力」(ハウス食品)も気を吐いている。2004年に発売以来、「飲み会前の救世主! 二日酔いによく効く!」と、並み居る左党や酒豪らに支持されてきた。
[an error occurred while processing this directive]だが、ウコンに含まれるクルクミンそのものに薬効があるかどうかを問う研究がある。ミネソタ大学のマイケル・ウォルターズ博士らの研究チームは、ウコンの主成分クルクミンに薬効はないとする論文を医学誌「Journal of Medicinal Chemistry」に発表した。
発表によれば、ウコンに含まれるクルクミンは、不安定かつ科学的に反応性が高く、体内に容易に吸収できない化合物であることから、薬剤の開発に役立つ可能性は少ないとしている。
本当にクルクミンに薬効はないのか? そして、クルクミンとは何か?
カレー粉はオレンジ色の秋ウコン、健康食品は黄色の春ウコン
紀元前からインドで栽培が始まり、伝統医学のアーユルヴェーダやインド料理に使われているウコン(鬱金)は、ショウガ科ウコン属の多年草(学名:Curcuma longa)だ。「鬱金」には「鮮やかな黄色」の意味があり、呉音の「ウッコン」が転訛して「ウコン」となった(『生薬学雑誌』第61巻第2号、2007年)。
カレー粉に使われるのは、苦みが無くオレンジ色の「秋ウコン(ターメリック)」。苦く黄色の「春ウコン(キョウオウ/ワイルド・ターメリック)」は、健康食品などの用途がある。中医学漢方に供される「紫ウコン(ガジュツ)」もある。
ウコンの生産量も輸出量もインドが世界一。約50種類あるウコンのうち、インドでは30種類以上の品種がある。ウコンは、地下に肥大した濃黄色の根茎を持っている。この根茎を水洗して皮を剥き、5〜6時間も煮込んだ後、約2週間にわたって天日乾燥し、細かく砕いて利用する。
沖縄県人は煎じた「うっちん茶」を二日酔いを防ぐために、飲酒の前後に愛飲する。居酒屋ではウコンの粉末が常備され、泡盛などに入れて飲む習慣がある。インドネシアの結婚式では、花嫁も花婿もウコンで腕を染め、黄色に色鮮やかに炊き上がった米飯が振る舞われるという。