24時間テレビの裏で「検証!『障害者×感動』の方程式」生放送(画像は番組公式HPより)
冒頭から挑発的な企画<感動ポルノ>が流れた! 障害者を演出することで、いかに「感動が作られる」のかを辛らつに紹介したのは、NHK教育テレビジョン(Eテレ)の「バリバラ」だ。
同時間帯に放送しているのは、「愛は地球を救う」というテーマで年に一度放映しているチャリティー番組、ごぞんじ「24時間テレビ」。
[an error occurred while processing this directive]24時間テレビがクライマックスを迎える日曜19時から、バリバラでは「笑いは地球を救う」というキャッチコピーで「障害者×感動」をテーマに生放送で大討論した。
「なぜ世の中には、感動・頑張る障害者像があふれるのか?」を徹底検証するスタジオとともに、「障害者を描くのに感動は必須か」「チャリティー以外の番組に障害者が出演する方法」などについて、視聴者もTwitterで参加した。
番組では、出演者のひとり、先天性四肢欠損症のある岡本真希さんが「普通に生きているだけなので<感動の材料>にされたくない」とコメント。
また、車椅子のコメディアン・ジャーナリストで障害者問題を訴えてきたステラ・ヤングさん(享年32)を取り上げ、「障害者は障害という悪に打ち勝ったヒーローではない、感動ポルノは障害についての考えをゆがめてしまう」というヤングさんの主張を紹介した。
その裏では、まさに演出された<感動ポルノ>が……
その後、日本テレビにチャンネルを変えると、雨の中を100.5kmマラソンに挑戦する噺家・林家たい平が日本武道館に向かう姿が映し出された。会場手前からは「笑点」メンバーが伴走。予定時間よりも早く着いてしまったため、放送終了時間に合わせて、ゴール前で時間調整する姿は、まさに<感動ポルノ>。
そもそも、我々は障害者に対してなぜか聖人君子のようなクリーンなイメージを抱いてはいなかっただろうか。車椅子でバスケットに打ち込んだり、足で絵筆を握り素晴らしい絵を描いたりして、純粋無垢な瞳で自らの障害と闘っているのだ――。
そこで「感動を呼ぶ障害者像」が生まれるわけだが、それは勝手な思い込みと言わざるを得ないだろう。
バリバラ生放送に「河童」で登場(?)した「寝たきり芸人・あそどっぐ」は、メディアでの障害者の取り上げられ方についてこのようにコメントする。
「頑張っている人をクローズアップすることは良いことだと思います。でも24時間テレビに限らず、メディアは『障害がある<のに>頑張っている』『悲しい過去がある<のに>頑張っている』という演出をしがちで、その点に違和感を感じます」
「そんな演出がなくても、頑張っている人は自然と輝くはずです。オリンピック・パラリンピックの選手達がそうであるように」
世の中には善人がいる一方で、ずるく立ち回る人間、騙す人間、高圧的な人間がいる。同じようにダーティーな障害者、自分より障害が重い人を攻撃する障害者など、障害者にもいろんな人間がいる。また、同じ人間でも表の顔と裏の顔があるのは障害者でも一緒だ。
あそどっぐさんは、「バリバラ」のマイノリティーのお笑い芸人no.1を決める企画「show-1グランプリ」で、お得意の「いたいけな障害者ネタ」を披露。寝たきりを逆手にとり同情を引いた陰で「チョロいもんだ」とつぶやくというブラックなコントだ。
「自分とキャラがかぶってる障害者芸人がスベると嬉しい」これが芸人・あそどっぐの本音だ。