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大腸内視鏡検査の前夜からの絶食は無意味!?〜大腸がん予防には定期的な内視鏡検査が最も効果的

大腸がんを予防するには定期的な内視鏡検査が最も効果的(shutterstock.com)

 大腸内視鏡の検査前の説明で、「前日の夜から何も食べないできてくださいね」といわれたことはないだろうか? しかし、新たな研究で検査前に胃を空にするつらい準備は必要でない可能性が出てきた。

 アメリカでは通常、内視鏡検査の前日には固形食を控えて清澄流動食を摂取し、下剤を飲む必要がある。しかし、今回の研究では、少量の低繊維食を摂取しても検査への悪影響は見られず、むしろ従来の清澄流動食を摂取するよりも腸は検査に適した状態になることがわかった。

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 研究著者である米カリフォルニア大学アーバイン校臨床助教授のJason Samarasena氏は、「大腸内視鏡検査の前日に何も食べてはいけないという思い込みは誤りである可能性がある」と述べている。

食べ物で腸が刺激され排泄が促される!?

 米国がん協会(ACS)によると、米国では今年13万4000例以上の大腸がんが診断されると推定されている。50歳以上の人には内視鏡によるスクリーニングが推奨されているが、準備が大変だという理由で検査を受けない人も多いという。

 今回の研究では患者83人を対象として、大腸内視鏡検査の前日に清澄流動食を摂取する群と、低繊維食(マカロニ、チーズ、ヨーグルト、精白パン、ランチミート、アイスクリームなど)を少量摂取してもよい群のいずれかに割り付けた。低繊維食群の患者は、脂肪、蛋白、炭水化物を合わせて1000~1500kcal摂取した。

 その結果、低繊維食群のほうが、清澄流動食群よりも腸の準備状態が良好な患者が多かった。また、低繊維食群は検査当日朝の疲労が少なかった。食事の満足度は低繊維食群が97%、清澄流動食群は46%であった。

 低繊維食は「低残渣食」とも呼ばれ、消化器系内で容易に液化するため、大腸から排出されやすいとSamarasena氏は説明する。一方、野菜、果物、ナッツ類、種子類、穀物などの食物繊維が豊富な食品は、腸を通過するときに未消化であることも多く、検査の妨げとなることがある。なお、固形物を食べたほうが腸が綺麗になるのは、「おそらく、食べることによって腸が刺激され、排泄が促されるためである」と同氏は述べている。

 今回の研究は小規模なものだが、他の研究でも同様の結果が出ているとSamarasena氏は指摘する。米カイザー・パーマネンテ医療センター(カリフォルニア州)のTheodore Levin氏は、「この知見は有益だが、内視鏡検査の準備方法を変更する場合は事前に医師に相談する必要がある。特に糖尿病患者などでは、低繊維食を検討する価値がある」としている。

 この知見は米サンディエゴで開催された米国消化器病週間(DDW)会議で発表されているが、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

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