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【連載「死の真実が“生”を処方する」第24回】

救急車の到着時間が年々遅くなっている! 救急搬送される前に私たちにもできること

救急車を要請(覚知)してから到着までの平均時間は8.2分Takamex / Shutterstock.com

 一般的に救急車を呼ぶと、適切な応急措置が施され、適切な医療機関に搬送されると理解されています。しかし、平成24年11月に総務省が公表した資料に、驚くべき数字がありました。

 救急車を要請(覚知)してから到着までの平均時間は、平成23年で8.2分という結果だったのです。

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 平成13年は、平均で6.2分ですから、到着までの時間が年々遅くなっているのです。それに伴って、病院へ収容されるまでの時間も、平成13年には28.5分でしたが、平成23年には38.1分と年々長くかかるようになっています。

 たとえば、心肺停止状態に陥った時、数分間、脳に血液が流れなければ脳死状態になり、社会復帰は不可能になります。また、外傷で出血した場合には、一刻も早く出血を止める必要があります。救急車だけに頼っていては命を救うことはできません。

国民の力で助かった

 一般の人による応急手当てが有効であるというデータがあります。

 平成23年にわが国では、約12万7000人が心肺停止状態で救急搬送されました。そのうち、救急隊が到着する以前に、何らかの応急手当てがなされた人のうち、1カ月後に生存していた人の割合は6.2%でした。しかし、応急手当てがなされていなかった人では5.1%と低いことが分かりました。

 これは、あらゆる原因の心肺停止者を対象としています。したがって、救命不可能な激しい損傷を負っていたり、倒れた瞬間の目撃者がいないため、状況が明らかでない例を含まれています。

 そこで、心臓が原因で心肺停止状態になり、かつ倒れた瞬間の目撃者がある例に限ってみます。すると、応急処置を受けていた人は、1カ月後に14.2%の人が生存していましたが、応急処置を受けていなかった人は8.6%という結果でした。

 救急車が到着するまでの間の応急措置が、いかに大事であるかが分かります。

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