MENU

【週刊メディア・メディスン第1回】

「キヌア」や「アマランサス」など食物繊維とビタミンが豊富な「スーパー穀物」が話題

脅威の穀物アマランサスshutterstock.com

 主ながんの10年後の相対生存率が公表される前日の1月18日、テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』では、がん細胞を<自滅させる身近な野菜!>や<1日5皿食べる予防食>を紹介。ネタの原点である「designer foos project」と「5 A DAY」の意義にも触れていた。

 デザイナーフーズ計画は1990年にNCI(国立がん研究所)が提唱した米国版医食同源。植物性食品に含まれる数多の化学物質中約600種にがん予防効果の可能性があるとし、うち約40種を3段階に分類した『デザイナーフーズ・ピラミッド』として公表した。最も頂点に近い階層にはにんにく・キャベツ・大豆ほか日本人になじみ深い野菜も並んでいる。

[an error occurred while processing this directive]

「1日5皿以上の野菜&果物を!」増進運動

 加えてNCIが91年に官民共同の全米レベルで始めたのが『5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)』という健康増進運動。これは野菜や果物の摂取が生活習慣病のリスク抑制効果に繋がるとの科学的根拠に基づき、「1日当たり5(~9)皿以上の野菜と果物を食べよう!」と推奨したものだ。

 これらの提唱が奏功し、80年代には日本人の1日当たりの野菜摂取量に遠く及ばなかった米国人の摂取量が1995年時点で逆転するという飛躍的な好結果を生んだ。事実、73年以降は増加傾向にあった米国民のがん罹患率・死亡率も90年代に入ると減少の一途を辿り、5年間(90~95年)で2.6%減の効果へと結実した。

 なんとも皮肉なのは、米国の有名な報告書『マクガバンレポート』(1977年)で、<脂質が少なく、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多い、理想的な食卓>と推奨されていた1960年代の日本人の食事情がそれ以降は欧米化で自ら崩れた点だろう。

日本の60年代の食卓が理想的…。

 5 A DAYはその後、カナダ、ニュージーランド、オランダ、ノルウェー…30ヶ国以上で展開され、仏国では10 A DAY(=フランス)とか国柄で名称を変えつつも国際シンポジウムの開催も。ちなみに日本で「1日5皿以上(350g)以上の野菜と200gの果物を!」と謳う、非営利の会員制任意団体「ファイブ・ア・デイ協会」が設立されたのは2002年の夏である。

 5 A DAY自体が10周年の2001年、新たに青(紫)・緑・赤・白・黄(橙)の5色の彩り要素を加え、5 A DAY THE COLOR WAYの提唱を打ち出したという流れを知れば知るほど、今日の世界的和食ブームの必然性が納得できる。美味しい日本こそ理想的だったのに…。

 一方、1月21日のEテレ『きょうの健康』は<食卓に雑穀を・食物繊維とビタミン>と題して、キヌアとアマランサスを使った身近な料理法を伝授。いずれもNASAが認めて宇宙食にも採用されている南米産の穀物だが、前者のキアヌは米国歌手ビヨンセが約26kgの減量に成功した際の<スーパー穀物>として、海外セレブ勢の耳目を集めたものだ。

 また、そのキアヌに匹敵ないしは超える(!?)と俄然注目されているアマランサスはモチモチ&プチプチの食感が女性受けしそうな温故知新的フード。古代インカ帝国時代からの主食説もあり、驚異の穀物(super grain)とも呼ばれて19世紀以降はインドでも大規模な栽培が行なわれた。じつは日本でも江戸時代の末期に栽培されていた記録が残されている。

 Amaranthusは「しおれることのない(花)」を意味するギリシア語が語源だが、その花言葉は「不老不死・不滅・情愛・激情」。なんと来る2月17日に発売されるももいろクローバーZの3rdアルバムのタイトルが『アマランサス』!! 

 今回のがん生存率の公表結果で、「がん予防」や「がんと共存する」といった企画番組が量産されるだろう。「designer foos project」、「5 A DAY」、「キヌア」、「アマランサス」、これらの言葉はぜひ覚えておきたい。
(文=編集部)

<参考>
※がん予防と食品—デザイナーフーズからファンクショナルフーズへaltmetrics.ceek.jp/article/www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/.../ja/
※主治医が見つかる診療所:テレビ東京
www.tv-tokyo.co.jp/shujii
※きょうの健康 - NHKオンライン
www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/

関連記事
アクセスランキング