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【シリーズ「『あくび』と『いびき』と『しゃっくり』の科学」第2回 】

いびきは病気なのか? 睡眠時無呼吸症候群では高血圧、心臓病、糖尿病のリスクファクターにも

睡眠時無呼吸症候群は85%以上が未診断(shutterstock.com)

 寝入ったフリをしてかく空鼾(そらいびき)、ぐっすり寝入ってかく大音量の高鼾(たかいびき)、雷のような鼾声(かんせい)もある。いびき(鼾)をかくのは、眠りが深いからなのか、浅いからなのか?

 平安時代の漢和字書『新撰字鏡(しんせんじきょう)』に「息吹(いぶき)」という語があることから、息引き、息響き、寝響き(いひびき)が転じて、いびき(鼾)になった。また、『漢字源』によれば、いびき(鼾)を「鼻に干」と書くのは、鼻から出る大きな音を干声(かんせい)と呼んだことに由来する。

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いびき(鼾)とは何か?

 いびき(鼾)は、睡眠中、鼻から喉頭につながる空気の通り道である上気道(鼻から鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭までの呼吸器)が狭くなって起きる振動音だ。

 上気道が狭まった時に振動する部分は、鼻翼(小鼻)、鼻腔(鼻の空洞)と口腔(口の空洞)が合流する部分の上方にある口蓋垂(のどちんこ)、その下にある口蓋扁桃、咽頭扁桃(鼻呼吸した空気が気管支に抜ける部分)、舌扁桃(舌の奥で気管支や食道口に接する部分)などがある。中でも特によく振動するのは、軟口蓋垂(上の歯に奥にある口蓋垂の軟らかい部分)だ。

 つまり、いびき(鼾)は、狭まった上気道を空気が通る時に、軟口蓋垂が振動して発する雑音だ。

 音が低い時は軟口蓋垂が振動しているが、音が高い時は舌根が落ちたり、口蓋扁桃が肥大して気道が狭まっている場合が多い。息を吸った時、狭い咽頭の部分が吸い寄せられてさらに狭くなるので、いびき(鼾)をかきやすい。息を吐く時にもかく往復いびき(鼾)もある。

 さらに、睡眠時は副交感神経が優勢になるため、酸素の消費量が減り、上気道が狭くなるので、いっそう振動しやすくなる。また、疲労、飲酒、老化などによって、口蓋垂を支える筋肉の緊張が緩むと、上気道に口蓋垂が落ちるため、旗がはためくような振動音を立てることがある。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心臓病、糖尿病のリスクファクター!

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