結婚の権利が安心感や幸福感に Wisky/PIXTA(ピクスタ)
6月26日、米国の最高裁が歴史的な判決を下した。全米で同性婚の権利を保証する、というものだ。米国では、すでに同性婚のムーブメントが高まっており、現在、全50州のうち36州が同性婚を認めている。その権利が全米に行き渡るというのは、画期的である。
そもそも、世界で初めて「同性結婚法」が試行されたのが2001年。わずか14年前にオランダで口火を切った。続いて、ヨーロッパ諸国や米国の州法で、次々と合法化を進んだ。
[an error occurred while processing this directive]アジア諸国は足踏み状態だったが、ようやく今年1月にベトナムが合法化に踏み切った。今回の全米での合法化は、アジア圏への影響も少なくないだろう。
なお、法的に同性婚が認められていない日本も、近年は「事実婚」をする同姓カップルが現れてきている。先日、共にレズビアンであることをカミングアウトしている女優・杉本茜さんとタレント・一ノ瀬文香さんが、来年の結婚を発表した。
それでも日本では、同性愛そのものの社会的認知がまだ低い。テレビで「オネエキャラ」たちが活躍し、セクシャル・マイノリティ(性的少数者)が広く受け入れられてきたようにも見える。だが、実社会ではさまざまな制約を受けながら生活することを余儀なくされている。
「結婚」によって心身が健康で長生きに! 自殺やうつ病も少ない
今回、米国の専門家たちは、この社会的認知における、当事者たちへの心理的影響に着目している。
ひとつには、結婚の権利を得るということが、結婚に伴う「社会的な利益や法的保護」ばかりでなく、「安心感や幸福感」も得られることに繋がるというのだ。「結婚」という制度が世界中で恒久的に存在しているのは、生活の根幹といえる「安心感や幸福感」が大きいかもしれない。
米ケント州立大学(オハイオ州)教授のSusan Roxburgh氏は、結婚による利益の一部には、社会的制御や社会的支援があると指摘。「結婚している人は、心身とも健康状態がよく、長生きする傾向があり、自殺やうつ病の比率も低い」と述べている。
また、ウェイク・フォレスト大学(ニューヨーク州)教授のRobin Simon氏は、「同棲するカップルに比較しても、既婚者の方が精神的充足に優れている」という。