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【連載第10回 死の真実が“生”を処方する】

タクシー運転手の約2割、長距離トラック運転手の約3割! 驚くべき"居眠り運転"の実態

長距離トラック運転者の約3割が運転中に眠気を感じている?Laitr Keiows / Shutterstock.com

 2012年(平成24年)4月29日、群馬県藤岡市岡之郷の関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡、乗客乗員39人が重軽傷を負うという大惨事がありました。事故の原因は、運転手の居眠り。この事故を契機に、旅行業法で行われていた「高速ツアーバス」は「高速乗合バス」に集約されることになりました。

 バスだけでなくタクシーやトラックなどの職業運転者の事故防止対策が、重要な課題になっています。しかし、事故が起こってしまった時、単に運転者個人のミスや不注意として処理しているだけでは、有効な防止対策につながりません。いわゆる「ニアミス例」を集積して分析することも重要です。

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半数が眠くてもすぐに休憩しない! 居眠り運転の実態は?

 約1000 名のタクシー運転者(平均タクシー運転歴13年)を対象とした、興味深いアンケート調査があります。それによると、約3.8%が運転中に居眠りによる交通事故を経験し、約20%が居眠り運転によるニアミスの経験があるというのです。

 同じく、430人の長距離トラック運転者(平均大型トラック運転歴約17年)を対象としたアンケート調査もあります。それによると、ドライバーは1回の勤務で平均7.8時間運転し、1カ月に平均7万7000km走行していました。業務中の居眠り運転について尋ねたところ、2.8%が「よくある」と答えており、また28.8%が「時々ある」と答えていました。さらに、運転を始めてから眠気を感じるまでの時間は平均3.2時間でした。

 このように、長距離トラック運転者の約3割が運転中に眠気を感じているものの、驚くべきことに「すぐに休憩する」と答えた人は47.3%。それ以外の人は、何とか眠気を払って運転を続けているのです。これは恐ろしいことです。

労働安全衛生法による職業運転者への面接制度

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