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【連載第5回 沸騰するアジア医療圏】

アジアにおける「医療観光」の先駆例、タイのバンコク病院

いわゆる「医療観光」で成功したタイのバンコク病院のHP(https://www.bangkokhospital.com/

 近年、話題になっている、いわゆる「医療観光」。それをアジアで最初に盛り上げた国はタイである。立役者は、民間の株式会社病院だ。日本では病院の株式会社化は認められていないが、タイにおいては医療提供の重要な役割を果たしているのである。

 最初にバンコク病院を紹介しよう。タイで最初の私立病院であるバンコク病院は、1972年2月26日に開業した。当時のベット数は100床であったが、現在ではバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシーズ(Bangkok Dusit Medicalservices:BGH)としてタイの証券取引場に上場。その過程で、M&Aを頻繁に行い、1979年に創設されたサミテベート病院、こども病院をはじめとする4つの病院を所有するサミティウェート病院グループ、カンボジアのロイヤルアンコール国際病院、BNH 病院を傘下に収め、現在ではパタヤやプーケット、サムイなど、タイ人気のリゾート地や近隣国のカンボジアに19の医療施設を展開している。

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 バンコク病院は医療の質の担保については、各種の第三者認証を受けている。国際病院評価機構(Joint Commission International:JCI)による医療機関認証はいうまでもなく、JCIによる疾病または症状に特化した医療認定を受けているのも特徴である(ちなみにこの認定を受けている医療機関は日本にはない)。

 後者について詳しく述べると、JCIは2002年、疾病管理プログラムを認証するものとしては初の国際的なプログラムとして、疾病または症状に特化した医療(Disease or Condition-Specific Certification:DCSC)認証を発足した。そして、バンコク病院は、「急性冠症候群」「心不全プログラム」「乳房温存療法プログラム」「一次脳卒中センター」の分野でDCSC認証を取得しているのだ。

 さらにアジア病院経営協会賞(Asian Hospital Management Award: AHMA)も受賞している。この賞は国際病院評価機構、ジョンズ・ホプキンス・メディスン・インターナショナルおよび国際病院連盟も参加しており、質の高い医療の功績が評価されて授与されるもので、バンコク病院は「Patient Safety/Quality Medical Care(患者安全/質の高い医療)賞」を受賞した。

 日本でいえば医療機能評価にあたる国内の認証も私立病院で最初に認証を受けた病院の一つである。この病院認証は、タイ国の病院品質向上・認証協会で行われ、認証の重要な基準は、患者サービスと臨床診療両方で継続的な品質向上を図ることをコミットした、患者を主体にした医療へのアプローチである。

 同病院のHPで病室の案内を見ると(https://www.bangkokhospital.com/jp/rooms/)、医療サービス以外の値段が詳細に書かれているのに驚かされる。まるでホテルを選ぶようだ。医療以外の部分での満足感は、こういった視点で得られるのかもしれない。

連載「沸騰するアジア医療圏」バックナンバー

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