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気づかないうちにパワハラ加害者に! 心身を病んでしまう前に注意すべきこと

叱られ慣れていない若者は意外ともろい ghostrider / PIXTA(ピクスタ)

 新入社員が平成生まればかりとなって早や数年。職場の「ゆとり世代」にイライラさせられることは日々少なくない。かつて「何を考えているのかわからない」と言われた"いちご世代"が、昔の大人と同じようにジェネレーションギャップを感じているのではないか。

 部下の言動に対して、たまにイラつく感情をもつことも人間だから仕方がない。しかし、嫌悪感を長引かせると厄介なことになりかねない。ちょっとしたミスに「またかよ」と感じたり、「こんなこともできないのか」と口にしたり、同じ仕事内容を他の部下と比べて厳しい評価をしてしまったり......。

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 これらの言動は、「パワーハラスメント」の危険信号が灯っていると考えたほうがいい。自分を戒めよう。負の感情が次第にエスカレートすると、部下の心身を不用意に傷つけて、気づかぬうちにパワハラの加害者になりかねない。

パワハラで自殺に追い込まれることも

 先頃、上司のパワハラによって息子が自殺に追い込まれたとして遺族が訴えた裁判で、福井地検は会社と直属の上司に7200万円の支払いを命じた。これを不服とし、被告と原告が同時に控訴。泥仕合の様相を呈している。
 
 「辞めればいい」「死んでしまえばいい」といった暴言や、暴力を振るったり、書類を投げつけたりする言動は明らかなパワハラだ。しかし、パワハラ問題は、組織ぐるみで隠すため表沙汰になりにくい傾向がある。

 被害者側も「自分がもっと頑張れば」「"厳しい指導"が自分を成長させる」「辞めたら家族に心配をかける」などの理由から、公にしないケースも少なくない。

 パワハラの渦中にいると、感覚が麻痺して身動きが取れないかもしれない。だが、心身を病んでしまう前に、いまの状況を俯瞰し、いったん自分を見つめ直してみよう。

 もし、明らかなパワハラに気づいたら自分だけで悩む必要はない。職場の仲間に相談しづらい場合もあるだろう。そんなときは、各都道府県労働局にある「総合労働相談コーナー」や「みんなの人権110番」「法テラス」などを活用することも考えみよう。

「上司に逆らえない」は時代遅れ

 

 社風として、挨拶の声の大きさ、お辞儀の角度などを事細かに決めている企業もある。いわゆる体育会系的な"しつけ"を重視する会社もあるだろう。しかし、「上司より先に帰れない」「残業が当たり前「上司からの飲みの誘いを断れない」などの空気が蔓延していたら、このご時世NGである。

 厚生労働省の「脳・心臓疾患と精神疾患の労災補償状況」(2013年度版)によると、業務上の事由によるうつ病などの精神疾患で労災が請求されたケースは1,409件(前年度比152件増)で、過去最高を更新した。そのうち労災が認められたのは436件。そのうち精神疾患が発症した原因は「仕事内容・量の大きな変化」と「パワハラ」が最も多かった(各55件)。

 これらは氷山の一角で、労災や傷病手当の請求に至らないものは無数にある。パワハラ被害者を出さないために、まずは自分の言動を問い直してみることだ。明らかな暴力・暴言はなくとも、舌打ちや無視、仕事を与えない、能力以上の仕事を押し付ける、孤立させるなどもパワハラに当たる。

 心身が充実して働ける職場づくりは、部下や周囲だけでなく、自分にとっても気持ちよく働ける環境であることは間違いない。
(文=編集部)

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