ツライ腹筋運動ではへこまない!
ポッコリお腹の代表、いわゆる「ビール腹」は、ビールの飲み過ぎのことではありません。そのポッコリと付き出たお腹の様が「ビール樽」に似ていることから、そう呼ぶようになったそうです。
ポッコリお腹のタイプはいくつかありますが、手脚は細いのにお腹だけがでっぷりと出たビール腹は「内臓脂肪蓄積型」に入ります。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて付きやすい反面、落としやすいので、普段の食生活を少し気をつけるだけで、特に激しい運動をしなくても効果が表れます。
[an error occurred while processing this directive]とはいえ、働く方の多くは、断れない酒席の付き合いもあれば、忙しい中で素早く満腹にできるラーメンや牛丼などの炭水化物や脂質を多く含む食事になりがちで、それを制限することはなかなか難しいと思います。そこで、食事制限ではないお腹をへこます方法は、やはり運動になります。では、どんなエクササイズが効果的なのでしょう?
激しすぎても脂肪燃焼には逆効果
多くの方が真っ先にイメージするのは、上体を起こしを繰り返す腹筋運動かもしれません。ツライ腹筋運動をひたすら我慢して乗り越えれば、ビール腹をへこますことができるかというと、実はそうでもありません。
内臓脂肪は、有酸素運動で落とせることがわかっています。有酸素運動をすると、まずは内臓脂肪が燃焼し、その後皮下脂肪という順に燃えていきます。初めの2~3週は有酸素運動の代表「ウォーキング」を行ってみましょう。10分くらいからで構いません。運動強度が低すぎると効果が薄くなるので、身体が慣れてきて余裕がありそうなら時間を延ばしてください。走ったり歩いたりを交互にできるくらいまで、強度が上げられるといいですね。
脂肪燃焼に効果的な運動は、激し過ぎてもいけません。息切れしてしまうほどだと強すぎます。会話ができるくらいの「ニコニコペース」がよいでしょう。心拍数(脈拍数)だと、「138-年齢÷2」から求められる数値が目安になります。
まずは"大きな"筋肉を増やす
有酸素運動でさらに脂肪をより効率的に燃焼させるには、体の代謝を上げることです。つまり、体の筋肉を増やすのです。とはいっても、筋肉は簡単に増やせるわけではありません。そこで、最も効果的なのは、まず"大きな筋肉"を中心に鍛えること。やたらとあちこちの筋肉を鍛えるよりも、先に燃焼量を上げるほうが早く効果が出ます。
お腹の「腹筋群」は、薄い膜の集合体のような形状をしているため、胸や背中、太ももに比べて体積が大きくありません。そのため、内臓脂肪蓄積型のお腹をへこますために、ひたすら上体を起こすような腹筋運動をするのは少々遠回りなのです。
筋肉量が1kg増えると、基礎代謝が約50Kcalアップするといわれています。筋肉が減れば代謝も下がり、"痩せづらく"なるわけです。残念なことに、加齢に伴い筋肉量は減少していきます。これを「サルコペニア」といいます。
特に下半身は、筋肉の減少が顕著となります。下半身の筋肉量は全身の半分以上を占めるため、そこが衰えていくと、基礎代謝が大きく減る要因になります。「若い頃は同じ量を食べても体重は増えなかったのに......」という疑問への答えは、まさに「サルコペニア」によるもの。歳をとったからお腹が出てくるのは仕方がないことではなく、筋肉量の低下に伴い基礎代謝が低下し、結果的に内臓脂肪がたまっているのです。
中年期に入っても、筋肉量を増やすことで代謝の一方的な低下をくいとめ、ポッコリお腹から脱却することが可能になります。