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片付けられない、仕事ができない......。「ダメな自分」は、大人のADHDが原因かも?

ADHDは脳の発達障害の一種 shutterstock.com


 部屋が片付けられない、約束を忘れる、仕事に集中できない、しなければいけないことがあるのについ別の事を始めてしまう......。もしかするとあなたも、こんな自分の性格に悩み、自己嫌悪してはいないだろうか?

 実は近年、こうした行動の傾向は単に性格的なものばかりではなく、脳の発達障害の一種、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と関連づけられてきている。

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 授業中にうろうろと歩き回る多動児の出現で、広く知られるところになったADHD。これまでは子ども特有の病気であり、大人になると自然に治ると思われてきた。ところがここ数年の研究や調査により、多くの大人もADHDに苦しんでいることが判明した。第一に、子どもの頃にADHDの診断を受けた人は、大人になっても50〜80%の人に、この特徴が残る。それに加えて、子どもの頃には気づかなかったものの、大人になってから対人や職場においてさまざまな困難が深刻化し、ADHDと診断されるケースも増えているという。

 ADHDの症状には、多動性(じっとしていられない)、衝動性(その場の感情で行動してしまう)、注意の持続が困難(ひとつのことに集中できない)の3種類があり、人により1つが突出していたり、3つが混じりあって現れたりする場合もある。大人のADHDの有病率は諸説あるが、海外では人口の2〜4%。日本では少なく見積もって1.65%と言われ、世界的平均からみても潜在的な患者数は300万人くらいいると推計されている。

ADHDの可能性をチェックしてみよう

 ADHDの診断基準についてはWHOが制作した下のような簡易スクリーニングがある。以下の6項目について(a)全くない、(b)めったにない、(c)時々ある、(d)頻繁にある、(e)非常に頻繁にある、の5段階で回答していくものだ。

【1】物事を行うにあたって、難関は乗り越えたのに、最後の詳細をまとめて仕上げるのが困難だったことがどのくらいの頻度でありましたか?

【2】計画性を要する仕事を行う際に、作業を順序立てるのが困難だったことがどのくらいの頻度でありましたか?

【3】約束や用事を忘れたことが、どのくらいの頻度でありましたか?

【4】じっくり考えなければならない作業がある際に、その作業に取りかかるのを避けたり遅らせようとしたりしたことが、どのくらいの頻度でありましたか?

【5】長時間座っていなければならない時に、手足を揺すったり身もだえしたりしたことが、どのくらいの頻度でありましたか?

【6】まるでモーターに動かされているように、異常に活動的だったり、何かしなければいけないという衝動に駆られたりしたことが、どのくらいの頻度でありましたか?

 質問【1】~【3】は(c)以上、【4】~【5】は(d)以上を1点と数え、4点以上だった場合はADHDの可能性があるという。そのうえで、仕事や人との関わりの中で「生きにくさ」を強く感じていたら要注意かもしれない。

認知されることで生きやすい環境に

 ADHDの人にとっては、意欲や感情をコントロールし、何かをやり遂げることは困難だ。大人の場合は物事を先延ばしにする、時間管理ができない、情緒不安定などの特徴が現れる。職場では同じミスを繰り返すことも多く、周囲からは努力不足や能力の問題と思われがちなのが辛いところだ。

 認知度が低いことに加えて、日本ではまだ発達障害に対する診断法が確立していないという課題もある。大人の発達障害を診断する医療機関が少しずつ増えてきたとはいえ、適切に診断できる医師はまだまだ少ないという。

 ただ「ADHDかもしれない」という認識がないまま、ひたすら自分を責め続けるのは辛い。できるだけ早く自分の特徴を知って対応していくことで、周囲に理解と協力を求め、生活をしやすくしていくことも可能だろう。心当たりのある人は、一度カウンセラーに相談をしてみてはどうだろうか。
(文=編集部)

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