どうすればがんは消えていくのか?
がんサバイバーの医師が書いた『がんが消えていく生き方 外科医ががん発症から13年たって初めて書ける克服法』という本が話題となっている。Amazonのがん・腫瘍ランキングで1カ月以上にもわたり1位を続けているのだ。
内容はタイトルにもある通り、外科医である著者ががんの手術後13年にわたって実践した再発を防ぐための治療や生活習慣の改善について紹介している。がん経験者による書籍はあまたあるが、なぜ本書が売れているのかその理由を考察してみた。
[an error occurred while processing this directive] その理由は以下の3点にある。
①自身が外科医でもあり、がん手術を数多く行ってきたエキスパートであること。がんサバイバーであると同時にがんの専門家としての立場から説明している信頼性。
②標準医療の価値を認めつつ、その他の補完代替療法についても、エビデンスや自身の経験をもとにその効果について評価していること。
③世界の研究を基に「がんの根本原因は誤った生活習慣にある」と結論付けていること。再発防止のために、自宅でお金をかけずに実践できる生活習慣の改善を最重要視している点。
がんを消す仕組みを邪魔している生活とは?
『がんが消えていく生き方 外科医ががん発症から13年たって初めて書ける克服法』(ユサブル刊)
それぞれについてもう少し詳しく見ていこう。
①について、著者はがんの切除手術を数多く行ってきたエキスパートであり、完全にがん腫瘍を切り取ったにもかかわらず、がんの再発を数多く経験している。このことから、手術は対症療法に過ぎず、がんの根本原因を解決しない限り再発を防ぐことはできないという結論に達している。
②自身ががんを経験したことで、標準治療以外にもあらゆる補完代替療法を試してみた。本書では自身が経験した補完代替療法について、それぞれ医学的エビデンスも紹介しつつ、評価をしている。がん患者がもっとも頼ると言われているサプリメントについては、色々試してみた結果、「予防にはよいかもしれないが、がんを消す効果はないだろう」と明確に否定している。標準治療以外を試す患者にとってはその治療を選択する判断材料となる。
③著者はがん発症の最大の原因は誤った生活習慣にあり、生活習慣の改善こそ最大の再発防止法であると主張している。がん細胞は誰の身体にも1日5000個生まれているが、通常は体の免疫力により退治されていると言われている。つまり、がんは2人に1人がなるのではなく、2人が2人ともがんになっており、2人に1人が「がんを消す仕組みを邪魔している」というのが著者の考え方だ。そのため、再発防止のためにはまず、がんを発症させてしまった生活習慣を改善することが必要だと説いている。