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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第51回】

ついにわが国でも医療用大麻が抗てんかん薬となるか!?

医療用大麻に対する偏見は根強い!?

 今年3月の国会で、厚生労働省の担当者は、アメリカ合衆国やカナダをはじめ20カ国以上の諸外国で治療薬として合法化されている医療用としての大麻が、病院での臨床試験薬として許可される方針であるとの答弁をした。(朝日新聞デジタル「大麻含むてんかん薬、使用可能に」2019年3月20日05時00分)

 今まで日本では大麻取締法があるため大麻の医薬品としての輸入、使用は禁止されていた。医薬品としての大麻は、大麻草より分離されたカンナビノイドのうち、精神を高揚させる向精神作用のあるテトラヒドロカンナビノイド(THC)とは異なり、向精神作用のないカンナビジオール(CBD)が主成分である。

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難治性てんかん治療での効果が期待される医療用大麻

 アメリカでは、医療用大麻を難治性てんかんであるレノックス・ガストー症候群やドラベ症候群などの治療に使用されている。

 レノックス・ガストー症候群は、幼児期から小児期に発症し、睡眠中に眼球が上転したり、腕を挙げたり、体全体を反り返ったりさせ、覚醒時には表情がボーツとなったり、てんかん重積発作を認め、座っているときに筋肉の緊張が失われて、突然倒れたりする。発症原因は、はっきりわかっていない。人口10万人に20人程度存在する。治療は難しく、多種の抗けいれん薬も無効であることが多い。けいれん発作は成人になっても持続することが多い。 

 また、ドラベ症候群は、1歳未満で発症することが多い難治性のてんかん。体温の上昇や強い光に当たった時や、入浴中などにけいれん発作を繰り返す。レノックス・ガストー症候群同様に、抗けいれん薬が無効であることが多い。ナトリウムチャンネル遺伝子異常が原因とされている。2万人にひとり程度の発症である稀な病気。1歳過ぎには、歩行時のふらつきが認められ、言語発達も遅延する。成人期を迎える前に突然死するケースも存在する。 

これらの症候群のてんかんは、多種の薬剤に抵抗するので、医療用大麻の効果が期待されているのだ。  

 わが国でも医療用大麻の必要性は以前より訴えられていたが、なかなか進まない原因のひとつとして、相次ぐ嗜好用大麻乱用の摘発とその過熱報道がある。

 例えば、平成28年10月に元女優が、医療用大麻の必要性を主張し、国政選挙に立候補した。しかし彼女は乾燥大麻を所持していた。「歯の痛みを和らげるため」大麻を使用していたと主張していたが、嗜好用大麻を所持していたため、大麻取締法違反に問われた。彼女は嗜好用と医療用大麻を化学的に判別することができず、結局罪に問われた。こうした嗜好用大麻の乱用や誤解が医療用大麻の適正な導入の妨げとなってきた。

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