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高濃度乳房は「乳がん」の発症リスクが高い! 該当する日本人女性は約4割!

高濃度乳房の女性はマンモグラフィでも乳がんが発見されにくい

 ノルウェーがん登録の研究員であるSolveig Hofvind氏らの研究チームは、乳腺濃度を自動評価するソフトウェアを活用し、「乳腺濃度が高い高濃度乳房(デンスブレスト)の女性は、乳がんリスクが高い可能性がある」とする新たな研究成果を『Radiology』6月26日オンライン版に発表した。

 発表によれば、2007~2015年にノルウェーで累計30万7015件の乳がん検診を受けた50~69歳の女性10万7949人(平均年齢58.7歳)を対象に、検診時のマンモグラフィ(乳房エックス線撮影)の画像データに基づき高濃度乳房群と非高濃度乳房群に分けて、「要精検率」「生検率」「検診によるがん発見率」「定期検診の間に発見される中間期乳がんの発見率」を比較検討した。

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マンモグラフィでも乳がんが発見しにくい高濃度乳房

 その結果、8万7021件(28%)の乳房が「高濃度乳房」と判明。高濃度乳房群は非高濃度乳房群よりも要精検率や生検率が高く(要精検率は3.6%対2.7%、生検率は1.4%対1.1%)、検診による乳がん発見率や中間期乳がんの発見率も高かった(それぞれの乳がん発見率は検診1000件当たり、検診による乳がん発見率は6.7件対5.5件、中間期乳がんの発見率は2.8件対1.2件)。

 さらに高濃度乳房群は、非高濃度乳房群よりも検診の感度や特異度が低く(感度は71%対82%、特異度は97%対98%)、がん発見時のがんの平均サイズが大きかった(16.6mm対15.1mm)。

 しかも高濃度乳房は、マンモグラフィで撮影すると乳房の多くの部分が白色で映し出されるため、乳がんが発見されにくい。米国では乳がん検診の対象となる女性の約半数が高濃度乳房と推定され、その割合は加齢に伴い低下する。

 米国放射線学会(ACR)では、乳房密度の4つの分類のうち、濃度の高い2つが「高濃度乳房」と定義されているる。つまり、マンモグラフィ判定は、乳腺が多く白く写るほうから「極めて高濃度乳房」「不均一高濃度乳房」「乳腺散在乳房」「脂肪性乳房」に4分類され、このうち「極めて高濃度乳房」 「不均一高濃度乳房」の2つが「高濃度乳房」だ。

 ただし、ACRの評価法は「放射線科の医師がマンモグラフィ画像から主観的に乳腺濃度を判断する」というものだ。一方、Hofvind氏らの研究は「乳腺濃度を自動評価するソフトウェアが用いられた点」が新しい。Hofvind氏は「将来的には、乳がん検診時に今回のようなソフトウェアを導入することも検討する必要があるかもしれない」と話している。

 その一方で米イェール大学医学部のLiane Philpotts氏は「自分が高濃度乳房なのかどうかは、マンモグラフィ検査を受けなければ分からない。だが、今回の研究は、比較的高齢で、検診間隔が2年の女性を対象としたので、すべての米国人女性に適用できない可能性がある。自動評価ソフトウェアのリスクとベネフィットを再検証しなければならない」と指摘している。

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