「寝る子は育つ」だけでなく肥満リスクを減らす(depositphotos.com)
深夜のコンビニエンスストアに小さな子を連れて訪れる親や、居酒屋の片隅にベビーカーを置いて遅くまで酒を飲む親がいる。街は24時間眠りにつくことなく、大人ばかりか子どもまで巻き込んで睡眠不足の人を量産している――。
睡眠不足が続くと、一見、普通に活動していても、時に「マイクロスリープ(瞬間的な居眠り)」がやって来るので、仕事中に重大事故を招きかねない。
[an error occurred while processing this directive]そして、睡眠不足は大人よりも子どもに大きなダメージを与えるのだ。
睡眠不足の子の肥満リスクは約1.3~2.2倍
眠っている間に分泌される成長ホルモンは、子どもの骨を伸ばし、筋肉を増やすために欠かせないホルモンだ。睡眠が不規則だったり不足したりすると、体の成長に影響を及ぼす可能性がある。
体内時計も狂い、交感神経・副交感神経の自律神経の働きも妨げられてしまう。さらに、睡眠が足りていないと常に「時差ぼけ」のような状態となり、授業中も集中力を保つことが難しくなる。
子どもにとって一つもいいことのない睡眠不足だが、さらに「肥満リスクを高める可能性」まであることが、英国の研究で示された。その研究の詳細(「Sleep」2018年4月号に掲載)によると、こうしたリスクは乳児期から思春期のすべての子で共通して見られたという。
英ウォーリック大学の研究チームは、18歳以下の小児を対象に、ベースライン時の睡眠時間の長さと過体重や肥満になるリスク(あるいはBMIまたはBMI zスコア[体格指数]の変化)の関連を調べた観察研究の論文を調査。
登録基準を満たした14件の研究を対象に、メタ解析を実施した。これらの研究では、計7万5000人強の小児が約3年間追跡されていた。
そして、対象とした小児を「乳児期」「幼児期」「学童期」「思春期」の4つの年齢層で分けて解析。
その結果、いずれの年齢層でも、睡眠時間が推奨よりも短い群では、適切な睡眠時間を取る群と比べて、過体重や肥満になるリスクが約1.3~2.2倍であることがわかった。また、睡眠時間はBMIやBMI zスコアの変化とも有意に関連していた。