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性器を負傷した兵士、死亡ドナーからの移植で性機能回復!

「陰茎」と「陰嚢」の移植手術(depositphotos.com)

もし男性が性器を失えば、どれほど深い失望や悲哀に襲われるものだろうか?

 アフガニスタンの戦場で地雷の爆発によって負傷した兵士に、陰茎、陰嚢、一部の腹壁を移植する手術を執刀したのは、米ジョンズ・ホプキンス大学形成再建外科教授のW. P. Andrew Lee氏らの手術チームだ。陰茎、陰嚢、腹部周辺を含む組織の全部分を移植する初の試みとなった。

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 2018年3月26日、9人の形成外科医と2人の泌尿器外科医で構成されたチームは、死亡したドナーから提供された陰茎、陰嚢、部分的な腹壁(皮膚、骨、筋肉、腱、血管)を兵士に移植した。手術は約14時間に及んだが成功。医師団によると、手術を受けた兵士は性機能を回復する見通し。性機能の回復は、陰茎の再建手術では不可能だ。

 移植手術を受けた元兵士は「信じ難い負傷の苦しみは、すぐに受け入れらなかった。この致命的な負傷で、パートナーを持てない恐怖感や男だと認識できない失望感に苛まれた。だが、術後に眼が覚めた時、もう大丈夫だと自信が持てた」と語っている。

 Lee氏は「自発的な勃起やオーガズムなどの性機能、排尿機能が正常に近い状態まで回復できる」と説明している。

 だだ、移植手術に大きな課題がある――。

倫理面を含む数々の課題

 今回の移植手術では、精嚢(睾丸)の移植は行われていない。しかし、もし精嚢(睾丸)も移植していれば、元兵士はドナーの精子によって子どもを持てる可能性もあった。だが、倫理的に問題があると判断されたため、精嚢(睾丸)の移植は断念された。

 つまり、元兵士は勃起可能だが、精嚢(睾丸)を移植していないため、生殖能力はない。

 したがって元兵士は、睾丸から分泌される男性ホルモンのテストステロンの補充療法を受けながら、勃起機能を高める勃起不全治療薬のシアリス(タダラフィル)を使用。移植した組織に対する拒絶反応のリスクを抑えるための免疫抑制薬も使用している。また、移植した陰茎は、感染リスクがより高まりやすいのも問題点だ。

 さらに大きなハードルは、移植手術に適切なドナーを見つけるまでに時間がかかる点だ。今回も1年以上の待機ラグがあった。

 そして、手術費用の30万~40万ドル(およそ3000~4000万円)も高額だ。ただし今回は、ジョンズ・ホプキンス大学が費用を負担し、手術チームは無償で手術を担当している。

 一時期は自殺を考えた元兵士だが、理学療法を受けて義足で歩行する訓練に励み、負傷から数年で大学の学位を取得。「学校で良い成績を収め、医学部に進んで医師としてキャリアを積み、自分の得意分野で活躍するのが目標だ。パートナーを見つけて落ち着きたい」と将来に夢を託している。

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