盗撮犯罪は増加の一途を辿っている!(depositphotos.com)
「巡査長が女子大生を盗撮か」「元新聞社支社長が電車内で盗撮か」「僧侶がトイレにカメラで女性盗撮」「マジメ教師が少女20人盗撮」……。連日報じられる「盗撮事件の報」を見ると、その容疑者像は、実にさまざまだ。
ゴキブリならぬ「盗撮ホイホイ」とでも名付けたくなるほど、盗撮事件が報じられない日は、3日と空けないというような有り様である。
[an error occurred while processing this directive]盗撮魔は「ストレスがトリガー」で「社会的ステータスの高い人」が「傾向的に多い」とも言われるが、この3月にもそれを実証するような事例が起きた。
検事が女子トイレで盗撮
神戸地検姫路支部庁舎(兵庫)で、46歳の同地検の検事が、盗撮目的で女子トイレに入り、天井と仕切りの間から個室内にいた女性にスマホを向けた疑いで逮捕されたという事件だ。
逮捕容疑(兵庫県迷惑防止条例違反=盗撮および建造物侵入)は、昨年9月と今年2月の2度にわたって行われた同様手口に対してのものだった。2007年任官のこの盗撮検事は、事件当時、姫路支部勤務で公判を担当していたが、問題発覚後は地検本庁の総務部付に異動になった。
今風に言えば、もはや彼の人生は「終わったな」だろう。それも1台のスマホを持ったコトで、検事まで昇りつめた勝ち組人生を、「パシャ!」の一瞬(×2回)でふいにしたのだから、世の常識人には到底理解できない出来心だ。
無音化アプリが欲望を刺激
このところ増加の一途をたどる盗撮犯罪(警視庁の統計では平成23年頃は263件だったが同25年には633件にまで増加)については、この盗撮検事のように、「スマホ機能に肩を押された」事例が多いのもまた事実である。
平成25年の「警察白書」によれば、盗撮犯罪の33%までがスマホによるもの。その背景には、撮影音を消せる無音化アプリの入手がたやすくなり、盗撮初犯者の多くに顕著な「衝動的行為」を後押ししたのだろうとの読みもされている。
要は、無音化、補正化、高画質化(バレず、ブレず、鮮やかに)と進化するスマホ最新機能と、ネット上のスポット紹介的な盗撮環境情報が摺り合わされれば、たちまち理性に反した衝動という名のスイッチを押しかねないような現代社会なのである。
元来、女性観の歪み(「露出過多な服装女性はOKであるとか、撮られた側も喜んでいるに違いない」といった勘違い思考)の持ち主であったり、一度の成功例からストレス解消性やゲーム感覚(スリリングな背徳感や達成感)に溺れてしまったり、そもそも「依存的性格」な人などは、その予備軍かもしれない。
このような性的嗜好は、「窃視症(せっししょう)」とも「瞠視症(どうししょう)」とも呼ばれ、古くから「のぞき魔」「出歯亀」などと俗称されてきたが、無防備な赤の他人の脱衣姿や裸、あるいは性行為を視感(視姦)することで興奮する。
なかでも盗撮の場合、成功体験(満足感)が得られれば反省しづらく、失敗すればしたで「次こそは成功させる」というゲーム感覚に陥りがちだ。「再犯率」も約36.4%(27年「犯罪白書」より、刑法犯・条例違反・その他の再犯を含む)を占めている。