臓器移植法の施行から20年(depositphotos.com)
脳死になった人から心臓や肝臓などの摘出を認めた「臓器移植法」が施行されてから、今年で20年になる――。
施行当初は、15歳以上を対象に、本人の意思が書面で示され、家族が拒まない場合に限り、臓器の摘出ができるとされていた。その後、2010年施行の改正法では、子どもを含め本人が生前に拒否していなければ、家族承諾で提供可能となった。
[an error occurred while processing this directive]しかし、脳死下でのドナー(臓器提供者)数は法改正後も年間約30~60人で推移しており、先進国の中では圧倒的に少ない。
日本の脳死ドナーは約20年で465人! 米国は年間8000〜9000人
国の委託を受け、患者とドナーの橋渡しを行う「公益社団法人日本臓器移植ネットワーク」によると、脳死下のドナーは、法施行後から今年9月末までの約20年間で465人にすぎない。
一方アメリカでは、臓器提供のほとんどが脳死のドナーであり、その数は年間8000〜9000人といわれる。
また、人口100万人当たりのドナー数(2013年現在)を比べると、アメリカの26人、韓国の8.4人などに対して、日本はわずか0.7人。世界第1位のスペイン39.7人に比べると50分の1以下と、大きな隔たりがある。
移植の待機患者は今年(2017年)10月末現在、全臓器で約1万4000人。そのうち、心臓移植の登録者は20年間の累計で1390人いるが、移植手術を受けた人は350人余り、320人は手術を受けられずに亡くなっている。
脳死移植が普及しない日本では、肺や肝臓、腎臓で「生体移植」が行われているが、海外ではほとんど例がない。手術や身体の機能低下などの負担をドナーに強いる生体移植は、本来は次善の策であるべきなのだ。