小児科待合室のぬいぐるみには触らないほうが無難(depositphotos.com)
2~3時間待ちは当たり前――これは人気アイドルの握手会ではなく、風邪のシーズンに小児科で診察を受けるまでの待ち時間である。
待合室の中には咳(せき)が止まらない子、ぐったりして涙目の子……比較的元気であちこち歩き回っている子もいる。親が「とりあえず医師に診せておこう」と思って子どもを連れてきたのだろう。
[an error occurred while processing this directive]混雑する小児科の待合室に長居することのデメリットは、時間を無駄に過ごしてストレスがたまるだけではない。待合室の中に充満する「ウイルス」や「細菌」といった病原体によって、子どもたちが別の病気に感染するリスクが高まるのだ。
米国小児科学会(AAP)では、外来施設での感染症を防ぐためにさまざまな対策を発表している。
当サイトの読者も、子どもを病院に連れて行く前に次の2つを天秤にかけてほしい。感染症リスクの高い場所にわざわざ子どもを連れて行ってまで、医師の診察を受けたほうがいいのか、自宅でゆっくりと症状の経過を見守っているほうがいいのか……。
おもちゃは自宅から持参したほうがいい
長い待ち時間の暇つぶしをするため、小児科のクリニックではおもちゃや絵本が用意されている。こうした備品、特にぬいぐるみは、子どもに触らせないほうがいいのかもしれない。
米国小児科学会は10月23日、「清潔にし続けることが難しい、ぬいぐるみなどのおもちゃは病原菌を媒介する可能性がある。患者には自宅からおもちゃを持って来てもらうほうがよい」などの声明を発表した。
声明では、待合室のおもちゃについて、以下の対策を勧めている。
○患者の家族には自宅からおもちゃや絵本を持って来ることを勧め、複数の子どもが待合室のおもちゃを共有する機会を減らす。
○おもちゃが使用されるたびに洗うのが理想的だが、毎日、診察時間が終わったら清潔にすることも許容される。
○おもちゃは石けんを使用して汚れを洗い流した上で消毒して乾燥させる。
○ぬいぐるみなどは清潔に保つことが難しいため望ましくない。
さらに、米国小児科学会は咳やくしゃみのエチケット、そして手指衛生の重要性についても強調。小児科医に対し、咳やくしゃみが出そうになった場合は、「手」ではなく「ひじ」で鼻や口を覆うことを求めるポスターなどを掲示し、待合室にマスクやアルコールベースの消毒剤を用意しておくように勧めている。