「痴漢」は「依存症」である!(depositphotos.com)
はじめて社会病理学的視点から「痴漢」を解析した『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)の著者である、大森榎本クリニック(東京都)精神保健福祉部長の精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏。
痴漢の本質について訊く第3回のテーマは<痴漢を性依存症と捉える>。
[an error occurred while processing this directive]仕事を頑張ったご褒美に痴漢!?
会社に苦手なパワハラ上司がいる新人サラリーマン……。もう仕事を辞めたい、むしゃくしゃする、と思いながら電車に揺られていたら、手の甲が前に立っていた女性のおしりに触れた。
その柔らかな感触を通して脳に電撃が走った。しばらく考えてバレないように、手の甲を電車の揺れに合わせて押し付けてみたが、女性は微動だにしない。これまでの日常では経験したことのない興奮が訪れ、パワハラ上司のことは頭から一瞬で吹き飛んだ――。
これは『男が痴漢になる理由』で紹介される、痴漢を初めて経験した男性のモデルケースのひとつだ。こういったささいなきっかけから痴漢の常習者となっていく男性たちは、やがて修正し難い「認知の歪み」を持つようになる。
それはたとえば、このような考えだ。
●露出の多い派手な服を着ている女性は痴漢されても仕方がない。
●最初はイヤがっていても多くの女性は痴漢されているうちに気持ちよくなる。
●女性は痴漢されたいという願望を持っている。
●今週も1週間、仕事を頑張ったから、自分は痴漢しても許される。
まともな人には、とんでもない考えであることは明白だろうが、痴漢を行う者は本気でこう考えている。さらには、「自分は痴漢をした女性と一緒に電車を下りて、ホテルに行ったことがある」という信じがたいエピソードをネット掲示板に書き込む者もいる。
真偽のほどが不明な逸話を読むことで、痴漢常習者の行動はさらにエスカレートしていく。