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北朝鮮の核兵器による「電磁パルス」攻撃の脅威!人命のみならず電子機器や発電施設が瞬時に破壊

核兵器は人命のみならず「電磁パルス」で電子機器や発電施設も瞬時に破壊する(depositphotos.com)

 ヒロシマ、ナガサキは、72年目の夏を迎えた。

 2017年3月現在、原爆症の医療特別手当(月額13万9330円)の受給者は8169人、管理健康手当(月額3万4270円)受給者は13万7000人、被爆者健康手帳保持者は16万5000人だ(厚労省・原爆症認定)。あの日に受けた放射線障害や放射能汚染と苦闘している、夥しい日本人が厳存する事実は重い。

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中ロ朝は、核・ミサイル開発を抑止する安保理決議を直ちに実行すべき

 しかし、「核兵器」の廃絶と根絶の道のりは遙かに遠い。北朝鮮は、2006年10月9日に初めての核実験を行って以来、国際社会の非核化の要請や、国連安保理決議による再三の制裁にも関わらず、核・ミサイル開発を執拗に推し進めている。

 7月29日未明、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を強行したことから、8月5日、国連安保理は北朝鮮への新たな制裁決議を全会一致で採択した。今回の制裁は、北朝鮮の輸出収入トップを占める石炭のほか、鉄、鉄鉱石、鉛、海産物を全面禁輸。実行されれば輸出収入のおよそ3分の1の減収になる。また、新たな北朝鮮労働者の雇用も初めて禁止した。

 このような経済制裁は、核・ミサイル開発を抑止できるのだろうか? 韓国による調査によれば、北朝鮮経済を下支えする中国やロシアとの交易が不透明なうえ、北朝鮮の昨年の実質経済成長率は4%近いと推定しているからだ。

 北朝鮮による核・ミサイル開発の凍結、日米韓と中露朝の政治的な譲歩と連帯だけが、北東アジアの平和の礎(いしずえ)になる。中ロ朝は、今回の国連安保理決議を遵守し、直ちに実行すべきだ。

北朝鮮の核兵器による電磁パルス攻撃の脅威と恐怖

 このような北朝鮮の核・ミサイル開発の状況は、一触即発の危機を孕み、全く予断を許さない段階を迎えた。核兵器による「電磁パルス(EMP)」攻撃が差し迫った現実の脅威になっているからだ。  
 
 「一発の核爆弾が我が国上空のはるかな高さで爆発することで、電力供給網と死活的に重要なインフラが崩壊し、何百万もの生命が危険にさらされる。北朝鮮が核弾頭搭載可能なミサイルを持ち、イランも保有に近づく現状を見れば、電磁パルス攻撃は理論上の懸念ではなく、現実の脅威である」(昨年7月、ドナルド・トランプ氏を大統領候補に正式指名した米共和党大会で採択された綱領より)。

 電磁パルスとは、核爆発が地上40~400(30~500)kmの高さで起きると、核爆発によって放出される「ガンマ線」が空気分子と衝突するために、ガンマ線が爆発地点から遠方まで拡散して発生する電磁波だ。電磁パルスが発生し、地磁気に引き寄せられて地上に向かうと大電流を生じるため、スマホ、パソコンなどの電子機器、発電施設や送電線などが瞬時に破壊される。

 たとえば、爆発地点が米国中部の上空高度400kmなら、地上の影響範囲は全米をすっぽり覆う半径2200kmに達するという。ただし、10キロ・トン程度の核弾頭(広島の原爆は15キロ・トン)が大気の希薄な高度上空で爆発しても爆風は起きず、熱風や放射能の影響も地表には届かない。

 したがって、爆発の時点では死傷者も建造物の破壊もないが、電磁パルスによる大電流が送電線などに流入するため、ネットワークで結ばれた変電施設だけでなく、スマホやパソコンなどの電子機器も壊滅する(「読売新聞」2017年8月5日)。

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