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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第37回】

「食塩中毒」で1歳児が死亡! 200gの「食塩」を摂取して自殺した成人も

200gの「食塩」を摂取して自殺した成人も(depositphotos.com)

 2015年8月、岩手県盛岡市内の無認可の保育施設で、当時1歳の女児が大量の食塩入りの飲み物を飲まされて、中毒死していたことが判明した。岩手県警は、2017年7月、保育施設を経営していた34歳の女性を傷害致死容疑で逮捕。容疑者は女児の気分が悪そうだったので、塩分補給の目的で食塩水を与えており、「危害を加えるつもりはなかった」と釈明し、一貫して容疑を否認。その後、容疑不十分として彼女は釈放されている。

 塩分は生命維持のため、必要不可欠な栄養素である。しかし、過剰摂取は、時に生命の危険にさらされることがある。特に上記のような1歳前後の乳児の場合は、体内に蓄積された過剰な塩分を排泄する腎臓の機能が十分成熟していないため、また塩分過剰摂取後に喉が渇いても自分では水を飲めないことなどから、生命の危険が及ぶことがある。

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 イギリスで報告された食塩中毒の例では、12例中11例が「生後1.5カ月から9カ月の乳児」で、うち2例で死亡している。多くの中毒例では、少なくとも10gの食塩(小さじ2杯分)が与えられ、なかには親による虐待が絡んでいた症例も認められた。ジュースの中に食塩を添加させて、飲みやすく工夫をしたケースも含まれた。

 塩分過剰摂取後の症状は、嘔吐、下痢、発熱、頭痛、口喝などが出現するが、摂取後時間の経過とともに、さらに重症な症状として、意識障害、けいれんなどを呈する。最悪のケースでは、脳の「くも膜下出血」や「脳出血」を合併することもあり、致死的状態に陥ることが多い。

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