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【シリーズ「窃盗症(クレプトマニア)という病」第2回】

窃盗症(クレプトマニア)は「生活苦」と無関係! ふとしたことで<万引き依存>に

窃盗症(クレプトマニア)の原因は「生活苦」ではない(depositphotos.com)

 ふとしたきっかけで始まる「窃盗症(クレプトマニア)」。アルコールに並ぶ2大アディクション(常用癖)になるのか?

 平成28年版の『犯罪白書』によると、窃盗の認知件数は約80万件。そのうち「万引き」の占める割合は14.5%。つまり、毎年およそ11万件以上もの万引きが認知されていることになる。

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 もちろん、発覚しない万引きは、これをはるかに上回る数であることは間違いなく、万引きは深刻な社会問題のひとつだと言える。

 繰り返し万引きをしては捕まる「常習累犯窃盗」の人のうち、かなりの割合の人が該当すると言われているのが、「窃盗症(クレプトマニア)」という疾患だ。「物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」というその疾患に当てはまるのは、どのような人たちなのだろうか?

決して特別な人の病気ではない

 「クレプトマニアと診断された人のなかには、普通の家庭で育った専業主婦の人もいれば、サラリーマンの人もいる。決して特別な人がかかる疾患ではなく、我々のライフスタイルのなかで、いろいろな負荷がかかったときに出る反応のひとつなのではないか――と考えます」

 こう語るのは、大森榎本クリニックの精神保健福祉士で社会福祉士でもある斉藤章佳氏だ。斉藤氏は、東京都内で唯一クレプトマニアの専門外来がある大森榎本クリニックで、患者の治療にあたっている。

 最近、クレプトマニアの患者で特に多いのは高齢女性で、パートナーとの死別や離別など何らかの「喪失体験」がきっかけで始まることが多い。

 「男性は高齢になるとアルコールに耽溺する人が増えますが、家事を担ってきた女性の<生活の主戦場>はスーパーマーケット。男性では、アルコールと仕事が非常に関連づけられるように、スーパーマーケットで、女性のクレプトマニアが始まるのは<生活モデル>の視点から考えると至極当然といえるかもしれません」(斉藤氏)

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