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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第14回】

男性も知っておくべき「月経(生理)」と「片頭痛」の関係〜急性期治療は「トリプタン」

月経と片頭痛は女性ホルモンと関係(depositphotos.com)

 今回は「月経(生理)と片頭痛」について取り上げたいと思います。

 女性の方にとっては月に一度おとずれる憂鬱なことですが、男性にはなかなか理解できないと思います。職場で突然、頭痛や体調がすぐれないと訴える女性がいた時は、気を利かせて、まずはそっと休ませてあげてください。そんな男性の同僚や上司は、きっとその女性から慕われて、職場の雰囲気や効率も向上すると思います。

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月経になるとエストロゲンの分泌が急激に低下して片頭痛に

 さて、月経と片頭痛は昔から関係が深く、女性ホルモンの中でもエストロゲンと関係していることが知られています。

 エストロゲンはステロイドホルモンの一種で、乳腺の増進、卵巣排卵抑制、脂質代謝、血液凝固作用など、さまざまな機能のあるとこが知られています。

 このエストロゲンは、月経になると、その分泌が急激に低下することが知られています。この急激な低下により、片頭痛が誘発される人がいます。その原因はよくわかっていませんが、血管に対する作用や、三叉神経核への作用、セロトニンとの関係、ノルアドレナリンによるものなどが考えられています。

月経による3種類の片頭痛

 国際頭痛分類では以下ように「純粋月経時片頭痛」「月経関連片頭痛」「非月経時片頭痛」の3つに分類されています。

①前兆のない純粋月経時片頭痛:前兆のない片頭痛の診断基準(注1)を満たし、月経開始日(月経開始2日前から月経3日目まで)のみに生じ、その他の時期には認めないものをいいます(月経3周期中2周期以上で認めることが診断に必要です)。

②前兆のない月経関連片頭痛:前兆のない片頭痛の診断基準(注1)を満たし、月経開始日(月経開始2日前から月経3日目まで)以外の時期にも発作を認めるものと定義されています。

③前兆のない非月経時片頭痛:上記の2つの分類に当てはまらないもの。

 月経の時に起こる片頭痛で、①の生理時だけ片頭痛を起こす人よりも、②の月経の時も片頭痛があるが、月経のない時も片頭痛が起こる人のほうが多いと思います。

 実際、片頭痛発作は、女性の約半数が、月経周期に関連して起こることを自覚しています。頭痛ダイアリー(日誌)を用いた調査でも、月経数日前から月経中にかけて、片頭痛発作が起こることが多く、月経時に起こる頭痛発作は、他の時期に比べて持続時間が長く、治療抵抗性のことが多いようです。

月経関連の片頭痛に効く薬は?

 月経関連の片頭痛に対する薬物治療は、基本的には一般的な片頭痛治療と同様ですが、発作が重度の時は、急性期治療としてはトリプタン(第12回「処方薬「トリプタン」は急性片頭痛の救世主! 5種類の薬の特徴、服用の仕方、副作用は?」を参照)で効果があります。

 月経周期に関連して発作が起こる月経時片頭痛には、月経1~2週間前から月経終了までの短期間、あらかじめ発作のごく初期段階でのトリプタンの内服や、予防を期待して内服することもあります。

 発作の再燃や持続時間の長い場合には、トリプタンの中でも血中半減期が長いナラトリプタン(アマージ)やエレトリプタンを用いるとよいとされています。トリプタン単剤で、効果を認めない場合は、消炎鎮痛解熱薬(NSAIDs)を同時に使用してもよいとされています。

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