AI(人工知能)が人事情報を一元管理(shutterstock.com)
全国の企業、官庁、病院の人事システムに激震が走っている――。いかに新たな人材を発掘し、成果を上げるか? どのセクションに、どの人材を配置するか? どのように効率的に業務を遂行するか?
企業の競争力、官庁の管理力、病院の信用力は、これらの伝統的かつ普遍的な難題を克服できるか否かに大きく依存している。
[an error occurred while processing this directive]AIやITを駆使し、人材活用や業務管理の改善を図るHRテック
人事部門が担う人材の発掘・採用・活用の業務エリアに、AI(人工知能)やIT(情報技術)を駆使して人材活用や業務管理の改善を図るシステム、それが、HR(Human Resource)テックだ。
HRテックのフローの一例を示そう――。社員の勤怠・給与管理から、能力評価や社内SNSへのアクセス頻度、メールや文書作成ソフトの活用状況までを一元管理する→収集したデータをAIが学習・推論・分析する→社員に最適な仕事や部署を提案する→メンタルヘルスの必要度を計測するという流れになる。近い将来、HRテックが人事システムを一変させるかもしれない。
少子高齢化によって日本の就業者人口は、6376万人(2015年)から5819万人(2025年)へ557万人も減少する予測がある。企業は、優秀な人材確保が急務になるが、HRテックのアシストが強力な追風になるだろう。
HRテックの導入事例は?
HRテックの導入事例は多い。
たとえば、人材紹介サービスを手がけるビズリーチ社は、昨秋に独自の勤怠管理システムを開発しており、今春に新たな評価ツールを開発・導入する計画を進めている。
ビズリーチ社のHRテックは、AIが蓄積したビックデータを解析し、深層学習(ディープラーニング)するので、客観的な人事評価、最適な職場やポジションを提案できる。
その結果、社員は上司から公正な評価が得られ、昇進につながるため、モチベーションや定着率が高まる。しかも、自分の適性と能力を把握できることから、異動・転職などにスムーズに適応する能力(エンプロイアビリティ)の強化にもつながるのだ。
HRテックは、欧米が先駆けて開発してきた。たとえば、求職者の経歴・希望と企業の募集条件を言語解析して、マッチング精度を高めるサービスをはじめ、ビッグデータから予測分析して、採用後のパフォーマンスを予想するサービス、財務と職場環境のデータを集約・分析し、最適な人員計画を立案するサービスなど、AIやITを活用した様々なサービスが展開されている。