メタノール入りの入浴剤1ボトル25mlがウオッカの半値(Akimov Igor / Shutterstock.com)
ロシアのシベリア地方にあるイルクーツクで、サンザシ(山査子)の香りがすると表示されたメタノールを使用した入浴剤を酒代わり飲んだ49名が死亡したという(時事=AFP12月20日付)。
入浴剤は1ボトル25mlが40ルーブル(日本円で約76円)と、ウオッカの半値で購入でき、かねてより貧困層を中心に飲酒(?)の習慣が浸透していたそうだ。また入浴剤のみならず、化粧品として売られているメタノール入り製品を飲んでいたケースも多数あったとのことだ。
[an error occurred while processing this directive] 事態を重視したロシアの首相は、メタノールが含まれているこれらの製品が安易に販売されている状況に対して厳しい対応を求めた。
戦後日本でもメタノール入りの酒で1000名以上が死亡
メタノールは工業用品の溶媒やアルコールランプの燃料、洗浄剤、農薬、ウインドーウオッシャー液などに広く用いられている。中毒量は、わずか20ml程度の服用で、もし無治療であれば失明する恐れが大きく、致死量は80ml以上とされる。
飲用後、数時間は吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状が中心で、酩酊、傾眠傾向となる。6時間後程度で目がかすむ、昏睡、呼吸苦などが出現する。重篤な場合は失明の危険がある。
諸外国では、過去にイタリアやインドネシアで、ワインに入っていたメタノールにより多数の死亡例を出しており、ケニアでも同じくメタノールの入った密造酒により100名以上の死者を出した事件があった。わが国でも、終戦後、メタノール入りの酒が販売され、1000名以上の死亡し、失明した人も数多く発生した。
以上のように、エタノールの代わりにメタノールが混入された酒類を飲んでの惨事が報告されたが、近年ではロシアで起こったようなケースは非常に少なくなっている。