股関節が硬いと「腰痛」になりやすい(shutterstock.com)
前回、腰痛の原因となるものとして<硬くなった胸椎>を解説した(参照:腰痛の原因は<硬くなった胸>! 「胸椎」を動かす簡単エクササイズで柔軟性をアップ)。
腰椎を挟んでいるのは、上が「胸椎」で下が「股関節」。今回はその続きともいえる話だ。股関節に着目してみよう。
[an error occurred while processing this directive]股関節が硬いと腰痛になりやすい
最近の論文から、「股関節が硬い人は、その分、腰椎を動かして代償する傾向がある」ことが明らかになった。
この研究では、椅子に座った状態で、腰を動かさないようにしてもらいながら、足を上にあげる。つまり、股関節を曲げる動きをしてもらい、腰痛を持っている人とそうでない人で動きを比較した。
その結果、腰痛持ちの人は、股関節の動きが乏しく、その分、腰が動きやすくなっていたという結果が出た。
なぜ、股関節が硬いと腰痛になりやすいのか? また、腰痛持ちの人はなぜ股関節が硬いことが多いのか? それを考えてみよう。
そのためには、まず「かがむ」と「しゃがむ」の違いについて考えることがヒントとなる。
「かがむ」と「しゃがむ」は全く違う
この2つは、実は全く違うものである。
私たちが床にあるものを拾うとき、「かがむ人」と「しゃがむ人」がいる。「かがむ」は漢字で「屈む」となり、英語では「Bend(曲げる)」となる。一方、「しゃがむ」は漢字で「踞む」となり、英語では「Squat」となる。
「かがむ」は、腰を曲げて低い体勢になる。だが、「しゃがむ」は漢字や英語が示している通り、「蹲踞(そんきょ)の姿勢」のように腰を落として、低い体勢になる。つまり腰は曲げない。
腰に良いのは、どちらだろうか? 当然、腰を曲げない動作のほうが負担が少ない。つまり、「しゃがむ」ほうが腰に負担のかからない理想的な動作なのだ。
ところが、「しゃがむ」ためには、腰ではなく股関節を曲げる必要がある。そこで、冒頭の股関節の話とつながってくる。
股関節が硬い人は、「しゃがむ」ことを自然と避けるケースが多い。そのため、股関節ではなく代わりに腰を曲げて「かがんで」しまうのだ。それが何百回も続けば、当然、腰の負担が増えてくるのは想像できるだろう。