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【連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第21回】

股関節が硬くて「腰痛」に~「かがむ」と「しゃがむ」の違い、ハムストリングスのストレッチにヒント

股関節が硬いと「腰痛」になりやすい(shutterstock.com)

 前回、腰痛の原因となるものとして<硬くなった胸椎>を解説した(参照:腰痛の原因は<硬くなった胸>! 「胸椎」を動かす簡単エクササイズで柔軟性をアップ)。

 腰椎を挟んでいるのは、上が「胸椎」で下が「股関節」。今回はその続きともいえる話だ。股関節に着目してみよう。

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股関節が硬いと腰痛になりやすい

 最近の論文から、「股関節が硬い人は、その分、腰椎を動かして代償する傾向がある」ことが明らかになった。

 この研究では、椅子に座った状態で、腰を動かさないようにしてもらいながら、足を上にあげる。つまり、股関節を曲げる動きをしてもらい、腰痛を持っている人とそうでない人で動きを比較した。

 その結果、腰痛持ちの人は、股関節の動きが乏しく、その分、腰が動きやすくなっていたという結果が出た。

 なぜ、股関節が硬いと腰痛になりやすいのか? また、腰痛持ちの人はなぜ股関節が硬いことが多いのか? それを考えてみよう。

 そのためには、まず「かがむ」と「しゃがむ」の違いについて考えることがヒントとなる。

「かがむ」と「しゃがむ」は全く違う

 この2つは、実は全く違うものである。

 私たちが床にあるものを拾うとき、「かがむ人」と「しゃがむ人」がいる。「かがむ」は漢字で「屈む」となり、英語では「Bend(曲げる)」となる。一方、「しゃがむ」は漢字で「踞む」となり、英語では「Squat」となる。

 「かがむ」は、腰を曲げて低い体勢になる。だが、「しゃがむ」は漢字や英語が示している通り、「蹲踞(そんきょ)の姿勢」のように腰を落として、低い体勢になる。つまり腰は曲げない。

 腰に良いのは、どちらだろうか? 当然、腰を曲げない動作のほうが負担が少ない。つまり、「しゃがむ」ほうが腰に負担のかからない理想的な動作なのだ。

 ところが、「しゃがむ」ためには、腰ではなく股関節を曲げる必要がある。そこで、冒頭の股関節の話とつながってくる。

 股関節が硬い人は、「しゃがむ」ことを自然と避けるケースが多い。そのため、股関節ではなく代わりに腰を曲げて「かがんで」しまうのだ。それが何百回も続けば、当然、腰の負担が増えてくるのは想像できるだろう。

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