改正薬事法でネットを介して医薬品が購入できるようになったが……(shutterstock.com)
改正薬事法(平成26年6月)が施行されたことによって、インターネットを介して個人レベルで医薬品を誰でも自由に購入することができるようになった。
「時間をかけて病院に行き、診察を受けて処方薬を受け取る手間が省ける」「自宅で簡単に手に入る」「市中の薬局にはない薬がかなり安く買える」などの理由でネットを安易に利用して、個人輸入代行業者が運営する通信医薬品販売を通じて購入するケースが最近増加している。
[an error occurred while processing this directive]以前は、イギリス、香港、中国などに拠点を置く業者による英語での通信販売が主流であったが、日本語のウエブサイトも目立つようになり、我が国での「普及」が促進された大きな要因となっている。
海外の業者は、日本国内での販売許可を受けておらず、日本の医薬品医療機器法を守らず、したがって販売薬の安全性が保障されていないばかりか、危険ドラッグや覚せい剤などの有害な成分が含まれている医薬品である可能性も否定できないのである。
例えば香港の「O」やバージン諸島を拠点に置く「B」などは、現在、我が国で幅広く宣伝して、購入の斡旋を図っている。その掲載された記事は、巧みに消費者の購買欲をそそる内容が盛り込まれていることが多く見受けられる。
海外医薬品には偽薬も多く
また海外医薬品には、偽薬(いわゆるニセモノ)も多く認められる。
偽造ED治療薬四社合同調査2009によると、インターネットで購入したED治療薬の半数以上は全く効果のないニセモノであったとのことであった。
これらの医薬品が、人体に及ぼす死亡例も含む重大な健康被害が発生しないとも限らず、安易に個人輸入薬を利用することはきわめて危険である。さらに「医薬品の成分を含まない、天然の安全かつ効果抜群の食品」などと宣伝しているサプリメントも多く認められる。
今日、我が国での「サプリメントブーム」にあやかって、手広く販売活動している個人輸入代行業者も見受けられるので注意を要する。これらのニセモノ、粗悪品、有害薬を利用して健康被害が生じても個人輸入業者の保証は受けることができず、日本の医薬品副作用被害救済制度でも救われることはできないのである。
最近では、個人輸入代行業者の大衆週刊誌での宣伝も見受けられる。さらに購入者はインターネットを利用できない人まで拡散される傾向にあるのは、憂うべき状況にある。
利用者に甚大な不利益をもたらす、これらの販売ルートを積極的に取り締まる何らかの行政的措置が必要であると思われる。