抗がん剤に備え金髪ウィッグを試した小林麻央さん(オフィシャルブログより)
乳がんを患い闘病中のフリーアナウンサーの小林麻央さん。先日開設したブログでは、日々の報告や病気が判明したときの様子などのほかに、「抗がん剤で髪が抜けるので」、試した金髪のウィッグを被った写真を公開した。
2009年、国立がん研究センター中央病院が行った「抗がん剤治療による副作用の苦痛度ランキング」では、治療に伴う痛みや体調不良とともに、脱毛や爪の障害などの「外見の悩み」が男女ともにランキングしている。
[an error occurred while processing this directive]今や日本人の2人に1人ががんになるといわれる時代。いざ自分ががんとわかったとき、治療とは直接関係のない「日常的な悩み」を解決するには、どんなものがあるのだろうか?
がんの治療で起こる副作用とは?
がんを簡単に説明すると「異常な遺伝子をもった細胞のかたまり」と言える。正常な細胞と違い、「①勝手に増殖する」「②あちこちに飛び火(転移)し新しいがん組織を作る」「③他の組織が必要とする栄養を奪い体を衰弱(悪液質)させる」、この3つの特徴によって起こる衰弱や臓器不全が、がんによる死因だ。
逆に言えば、がん細胞の増殖を抑え、飛び火を防ぎ、栄養を与えなければ、がん細胞は生き続けられない。がんの治療は、これを目的として行われる。
現在のがん治療の基本は「三大療法」と呼ばれている。
○手術療法:がんの病巣を切除する
○化学(薬物)療法:抗がん剤でがん細胞を死滅させたり増殖を抑える
○放射線療法:病巣に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる
がんと診断された場合、様々な検査をした上で、その人に最も効果的と思われる方法が選ばれる。場合によっては、複数の治療法を組み合わせることもある。
この三大療法のうち、化学療法(抗がん剤)では、患者は薬の副作用を覚えることが多い。抗がん剤の多くはがん細胞に働くだけでなく、他の正常な細胞にも効果を示してしまうからだ。
反応が顕著なものには、髪を作る毛根細胞や爪母細胞、肌を作る肌細胞が挙げられる。つまり、がん患者が抗がん剤治療を始めると、がん細胞への攻撃とともに、髪が抜けたり、爪が変形・剥離したり、ひどい肌荒れなどに苦しむことがある。
医療の進歩で通院での治療が可能となった昨今、副作用による容姿の変化が患者の心の負担になり、「外出できない」「人と会えない」などの悩みも多くなってきた。そんな外見の問題をケアすることを「アピアランスケア(外見的ケア)」という。
がんの治療法がそれぞれ違うように、副作用の出方も個人個人で違う。ここでは抗がん剤治療で起こる副作用について、主なものを見ていきたい。
アピアランスケア①「脱毛」には医療用ウィッグ
脱毛の問題は、がん治療の副作用で最も周知されていることだろう。抗がん剤治療においては、薬剤効果が全身に及ぶために、その影響は全ての体毛に及ぶ。髪の毛はもちろん、眉毛やまつ毛、鼻毛も抜けてしまうが、抜け方や抜ける量には個人差がある。
脱毛は、抗がん剤の投与治療開始後10~20日程度で始まるといわれ、投与が終わった1~2カ月で新しい毛が生えてくる。自毛が完全に回復するのには1年半~2年ほど。その際には、髪質が変わったり、くせ毛になったりすることも。
この間のケアに有効なのが「医療用のウィッグ」だ。女性用も男性用も複数のメーカーが販売しており、価格や種類も多様になってきている。
医療用ウィッグが一般の物と違うのは、地肌に直接つけることが多いために、通気性や安定感、刺激性の弱さを重視していること。
また、毛の根元には人口頭皮をつけて髪の分け目が地肌に見えるようにしてあったり、人毛や、人毛と人工毛のミックスを使うことで、より自然に見えるような工夫がされている。さらに、治療前後で変わってくる自毛の量に対応できるよう、サイズ調整のアジャスターがついているものもある。
ウィッグのメンテナンスが面倒であれば、着脱も簡単な帽子やバンダナが使える。「医療用」と銘打ってなくても、オーガニックコットンやニット帽など頭部全体をカバーできる型ならば問題ない。ウィッグに比べて価格も安価なので複数揃えることも可能だろう。付け毛のついたタイプもあるので、さらに選択の幅は広い。
眉毛・まつ毛については、一般のメークを施すほか、付け眉毛や付けまつ毛を購入することもできる。ただし、市販の接着剤だとかぶれることもあるので医療用のものを揃えたい。