ジカ熱は妊婦だけの問題ではない(shutterstock.com)
ジカウィルスに感染しても、「5人中4人」までは取りててて症状が現われないという傾向をご存じだろうか?
仮に症状があっても、発熱や発疹、関節痛や目の充血などありふれた軽いものが多い分、質が悪いのだ。
[an error occurred while processing this directive]もちろん、最も恐ろしく重大なリスクは、妊娠中の胎児を襲う「小頭症」である。この夏はリオ五輪で世界中がお祭り気分に浮かれるが、これから妊娠を計画している女性陣は、どうかジカウイルス感染症(ジカ熱)の報道にも注意を向けてほしい。
事実、世界保健機構(WHO)は「もしも近頃、自分自身やパートナーがジカウィルス感染の発生地域に滞在した経験がある場合、最低でも8週間は妊娠を控えるほうが賢明だ」と。勧告を発している。
その背景には、従来からいわれてきた「蚊の媒介」による感染原因(依然、最も多い)に加え、性行為による感染も当初の想定以上に多かったという深刻な実態がある。
なので、もし男性パートナー側にジカウイルス感染の症状がすでに疑われる場合は、6カ月間は妊娠計画を控えるようWHOは呼びかけている。
アメリカの湾岸州でも上陸が深刻化
リオ五輪の話題に水をさすような形で発生してきたジカウイルス感染は、その多くがラテンアメリカ圏で報告されてきた。件のブラジル国内では推定5000例の小頭症が発生しているという。
ところが、米国保健当局の見解によれば、これからの蚊の季節到来にともない、湾岸の州であるフロリダやルイジアナ、テキサスなどでも、ジカウイルス感染の発生が予想されるとして警戒を喚起している。
その裏にも、想定外の調査結果が作用している。米国疾病管理予防センター(CDC)の追跡調査によれば、これまでに米国および米国領内で推定280人の女性感染者が確認されたが、この数字はジカウイルスによる症状、ないしは妊娠合併症のある妊婦のみ対象とした結果だった。
しかし、最近の報告では、女性側に必ずしもジカウイルス感染の症状がない場合でも、小頭症の小児が生まれる例が出てきたため、集計方法自体が見直された。その結果、先頃の米国保健当局による公表でも、ジカウイルス感染の妊婦数が「3倍」に増加した。