加湿器の水に混ぜた殺菌剤で死者100人に(shutterstock.com)
韓国では、加湿器が「一家に一台」の生活必需品だ。その切っても切れない関係は、韓流ドラマの生活場面からもうかがえる。
とりわけ、病院内での設置の多さが目を引くが、これは降水量が少なく空気が乾燥しやすい同国の事情による。
[an error occurred while processing this directive]その隣国で、加湿器の水に混ぜて使う殺菌剤が原因で100人前後の患者が死亡(大半が妊産婦か乳幼児)し、負傷者が1500人超という問題が発覚。
「お茶の間のセウォル号」事件として大揺れだ。問題が発覚したのは、2011年春のこと(=最初の患者がソウル市内で散見されたのは2006年)。妊婦4人が原因不明の肺疾患で相次いで死亡した。
事態を深刻視した政府の調査で、加湿器殺菌剤製品との「著しい関連性」が認められた。
しかも被害者の多くが、韓国内で2001年の販売開始以降450万個も売れてきた液体状の殺菌剤『オキシー・サクサク』を使用していた事実が判明した(製品は生産販売を中止)。
10年間のヒット商品が有害薬品を噴出!
問題の製品は、英国に本社を置く多国籍企業の日本/韓国法人であるオキシー・レキットベンキーザー社が販売してきたもの。
同社は製品化に際し、原料のPHMG(Polyhexamethylene guanidine: ポリヘキサメチレングアニジン)の製造会社から事前に「有害な化学物質」と告げられていたとの疑いも浮上している。
また、オ社は、2011年夏に韓国政府の疾病管理本部が公表した肺損傷のリスク要因説に反論するため、毒物学の国内最高権威とされる二人の著名大学教授に吸入毒性試験を依頼。
しかし、その報告書はオ社側の意向を汲んで「因果関係は明確でない」と歪められ、遺族らが起こした民事訴訟でも反論資料として提出されていた。
その裏側では大学側への研究費以外、両教授の個人口座に数千万ウォンの諮問料が振り込まれており、収賄や背任の疑いも発覚。
日本がGW中の5月4日、ソウル中央地検特別捜査チームは50代教授を緊急逮捕し、もう一人の60代教授の研究室なども家宅捜査に踏み切った。
その二日前の5月2日、オ社のアタル・サフダール代表がソウル市内のホテルで初めてとなる謝罪会見を行なった。
だが、遺族らは「遅い!」「許せん!」と英語で怒声を浴びせて、会場は一時騒然状態に。混乱がくすぶるなか、同代表は「心から謝罪します」と被害者らに陳謝し、数百万ドル規模の保障を行なう方針を明言した。