底冷えの冬はオシッコが近くなる……/shutterstock
ぶるぶる、ぞくぞく、じんじん。冬の底冷えは堪える。朝晩は、オシッコ(尿)が近くなる。オシッコをしたくなるのはなぜ? その仕組みをざっとおさらいしよう。
尿は、血液中の有害物質や新陳代謝で発生した老廃物質などを体外へ捨てるために、腎臓が濾過・産出する液体排泄物。尿管を経て膀胱にたまり、尿道口から排出される。濾過・産出量は1時間当たり60〜120mℓ、1日約1.5ℓ。膀胱の容量は、成人で平均500mℓ。日本人の80年間の排尿量はおよそ35tだ。
[an error occurred while processing this directive]膀胱に150〜200mℓの尿がたまると、粘膜(移行上皮)で覆われている膀胱壁が刺激を受ける。その結果、脊髄から排尿中枢を伝って大脳に信号が送られて尿意を催す。尿意を感じても、膀胱が膨らむので、大脳は尿意をコントロールできる。だが、尿量が300〜500mℓを超えるとがまんできなくなるため、膀胱反射中枢の命令によって膀胱がしぼみ、尿道が緩んで尿が出る。
尿は約98%が水。タンパク質の代謝で生じた尿素約2%のほか、微量の塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸をはじめ、クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンなどを含む。色は黄色(ウロビリン)。水分が不足すれば褐色やオレンジ色、短時間に大量に水を摂れば無色。腎臓が健康なら排泄までは無菌だが、排泄後は時間が経つと尿素が分解されてアンモニア臭を発生する。健康な尿はph5.86の弱酸性だ。
なぜオシッコと言うのか? 「お」は接頭語、「し」は小便を意味する女性語「しし」または擬音語「しーしー」、「っこ」は行為を表わす接尾語「こ」。「かけっこ」や「にらめっこ」の類だ。「常用字解」によると、「尿」は立って小便をしている人を横から見た形とか。古くは、ゆばり、ゆまり(湯放)、いばりとも。「いばりせしふとんほしたり須磨の里」。寝しょんべんした蕪村の照れ笑い? 「あんた、小水(ょうすい)したの!」と叱りつけられたのかも?
「月に向かってオシッコ」は、野心がデカイだけで、一人前になれないアカンタレを嗤ったもの。そんな輩にかぎって、「蛙のつらに小便」などと開き直り、シャーシャーとしている。何とも子憎たらしい。そんな厚顔・偏屈ものだから、馬の小便(薄い生ぬるいお茶)でも飲ませてやりたいところ。ところで、「ミミズにオシッコをかけるとオチンチンが腫れる」のは、ホントなのか迷信なのか? そんな妄想にあれこれと耽っていると、またトイレが近くなるから、オシッコ(尿)と病気の話に入ろう。