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【連載第11回 更年期をのりこえよう!】

更年期に多い高脂血症はコレステロール“善玉”と“悪玉”のバランス次第!?

コレステロールが善玉になるか悪玉になるか?shutterstock.com

 卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンは、女性のからだを若々しく保ち、多くの疾患から守ってくれる守護神である。このため、エストロゲンという後ろ盾を失う更年期以降の女性は、様々な疾患にかかるリスクが高まる。今回は、生活習慣病のなかでも、更年期の女性に非常に多くみられる高脂血症について解説しよう。

 血液中のコレステロールは、エストロゲンの働きによって微妙に調整されている。このため、女性は更年期に入ってエストロゲンの分泌が低下すると、血液中のコレステロールが上昇しやすくなる。

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 コレステロールは、血液の中でたんぱく質と結合して、リポタンパクという形で存在している。リポタンパクのうち、低比重リポタンパク(LDL)は血液中のコレステロールを血管壁に沈着させ、動脈硬化の原因となるため「悪玉コレステロール」と呼ばれている。これに対し、高比重リポタンパク(HDL)は血管壁にたまったコレステロールを運び去り、排泄する働きがあるため「善玉コレステロール」と呼ばれている。

 そして、興味深いことに、エストロゲンは「善玉コレステロール」の生産を促し、「悪玉コレステロール」の生産を抑える働きをしているのだ。このため、更年期に入ってエストロゲンの分泌が減少すると、相対的に「善玉コレステロール」が低下し、「悪玉コレステロール」が上昇しやすくなるのである。

低カロリー、低脂肪食、植物性脂肪や魚類性脂肪を

 血液中に増加した「悪玉コレステロール」は、動脈の内壁に沈着して、動脈硬化を引きおこす原因となる。動脈硬化によって血管径が狭くなると、血液が流れにくく、詰まりやすくなり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など心臓血管系の疾患にかかるリスクが高まるので要注意である。動脈硬化は喫煙やストレスでも促進されるので、禁煙をして、ストレスを溜め込まないことも大切である。

 つまり、エストロゲンが減少する更年期以降の女性は、とりたて不摂生な生活をしていなくても高脂血症になりやすく、心臓血管系の疾患にかかるリスクが高まるのである。更年期に入ったら、低カロリー、低脂肪食を心がけ、動物性脂肪よりも植物性脂肪や、魚類性の脂肪をとるように心がけよう。

 特に大豆に含まれるイソフラボンは、体内で女性ホルモンとよく似た働きをするため「天然のエストロゲン」といわれる。大豆の胚芽に含まれるフラボノイドの一種で、納豆や豆腐、味噌など大豆を原料とする加工食品のほとんどに含まれている。抗酸化作用があり血管の老化も防ぐので、更年期にはおすすめしたい食材だ。食物繊維も腸内でコレステロールの吸収を妨げる働きをするので積極的にとるようにしよう。

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