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【シリーズ「DNA鑑定秘話」第23回】

子ども16人をタイ人女性に「代理出産」させた日本人資産家の真意は?

日本人資産家が16人もの乳幼児を代理出産! shutterstock.com

 「江戸いろはかるた」の「り」は、「律儀者の子沢山」だ。誠実で実直な人は夫婦仲がいいから、子どもがたくさんできる。子どもは人生最上の宝であり、夫婦の鎹(かすがい)になるが、子煩悩の夫婦にかぎって子宝に恵まれない皮肉もある。また、「子を知ること父に若(し)くはなし」ともいう。とりわけ、父の遺伝子は重く、尊い。子どもの長所も短所も熟知しているのが父親の宿命だし、宿願のはずだ。

 16人もの乳幼児の父親になると心を決めた男は、何を思って父親になったのか? 子どもの行く末をよくよく考えていたのか? 隠されたネライや魂胆があるのか? そんな疑念がふつふつと脳裏に湧いてくる釈然としない「代理出産事件」が、タイの首都バンコクで起きた。

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DNAの親子鑑定で乳幼児16人の父親と判明したが……

 2014年8月16日の「The Huffington Post」の報道によれば、24歳の日本人男性が、タイ女性の代理出産によって16人の乳幼児の父親になった。報道に先立つ8月6日、タイ警察は日本人男性がバンコク市内に所有するマンションを家宅捜索し、身元不明の乳幼児9人をまず保護。1カ月から2歳の乳幼児のうち、6人が男児、3人が女児。すべての乳幼児にベビーシッターが付き添っていた。さらに8月15日、男性が関わった代理出産によると見られる乳幼児7人を保護、合わせて16人の乳幼児の存在を確認した。

 この日本人は誰か? 日本のマスコミ報道よると、東証一部上場企業、株式会社光通信の創業者・重田康光氏の長男・重田光時氏。時価総額約50億円もの株を保有する資産家といわれる人物だが、なぜ代理出産に関わったのかが、まず疑われた。

 タイ警察は、16人の乳幼児のうち、4人がカンボジアなどに出国していたため、人身売買や臓器売買などの犯罪性の是非を疑い、重要参考人として重田氏に事情聴取を求め、DNA鑑定の提出を依頼した。重田氏は事件の発覚後、タイからマカオに出国し、香港から日本に帰国。8月17日、タイの代理人弁護士を通じて、DNA鑑定のサンプルを提出。DNA指紋法による親子鑑定の結果、重田氏は16人の乳幼児の父であることが判明した。

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