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「記憶」が私を太らせる! 肥満の人の脳は高カロリーの食べ物に反応しやすい!? 

高カロリーのものを食べたくなるのは記憶のせい?(shutterstock.com)

 人間の食欲と記憶は、密接に関係している――。

 こんなエピソードがある。日本人の女子学生が米国に留学し、現地の女子学生とルームシェアをしたときのこと。引越しの日、2人は荷物を運び込み、部屋が片付いたのは夜遅く。くたくたになった2人は、昼も夜も食べていないことに気づいた。そのとき、日本人の女の子は「あーあ、さっぱりと、たくあんでお茶漬けが食べたい」と言い、アメリカ人の女の子は「あーあ、たっぷりとバターとジャムをぬったトーストが食べたい」と言ったという。

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 私たちが何か食べたいと思うとき、それは記憶にあるもの、過去に食べて美味しかった食べ物を思い出すはずだ。日本人とアメリカ人では、育った食生活の環境が違うから、肉体労働の後で食べたいと欲する食べ物も違ってくるのは当然だ。

 「お腹が減った」「甘いチョコレートが食べたい」と思うのは、胃ではなく脳である。血液中のブドウ糖など、さまざまな物質の濃度が低くなり、脂肪が燃焼すると、脳の視床下部にある食欲中枢が指令を出し、空腹を感じる。反対に、血液中のブドウ糖、セロトニン、レプチン、脂肪、タンパク質などが増加すると、食欲中枢が出す指令によって満腹を感じる。

 このような単純な仕組みであれば、余分に食べることはないので、肥満にはならない。しかし、人間の脳は、食欲中枢のような本能的な機能をつかさどる部位の外側に、感情や記憶といった高次な機能をつかさどる部位が発達している。そして、この高次な脳の働きのために、たとえ空腹ではなくても、食欲を刺激する。

美味しいものの記憶が、私たちを太らせる!?

 高次な脳の機能が私たち人間を太らせる――。これに関する新たな研究結果が、米国代謝・減量手術学会および肥満学会が主催するObesity Week2015で発表された。

 それによると、「チョコレート・スプレット」や「チキンウィング」など高カロリーな食品を説明する言葉を見たとき、肥満患者は正常体重者に比べ脳の広い範囲で反応があったという。また、ストレスを感じたときには、肥満患者も正常体重者も高カロリー食品に反応したが、その後、食事量が多かったのは肥満患者だけだったという。

 肥満患者はもともと高カロリーなものを嗜好し、また「それを食べたい」と感じると、我慢できない傾向があるのかもしれない。

匂いのと結びついた記憶を即座に引き出す「プルースト効果」

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