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【連載「グローバリズムと日本の医療」第8回 】

オバマケアで財政赤字の削減はウソだった!? 連邦最高裁判所が医療保険の補助金を合法とした意義とは?

オバマケアのプラス面とマイナス面のバランス......S White / Shutterstock.com

 2015年6月、アメリカ連邦最高裁判所は、オバマ大統領がすすめる医療保険制度改革(オバマケア)の重要な柱である政府補助金が合法であるという判決を下した。

 国民の15%以上が医療保険を持っていなかったアメリカでは、2010年3月、すべてのアメリカ国民が医療保険に加入することを促進する「患者保護および医療費負担適正化法(Affordable Care Act)」、通称「オバマケア」が可決成立し、2014年1月からスタートした。

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 この法律では、連邦政府が定めた基準を満たした民間医療保険を、国民がオンライン上に設置された保険取引所で購入することになっている。そして、低所得者がこの保険取引所で医療保険を購入する際、連邦政府は補助金を提供することになっていた。

 しかし、アメリカは連邦制による国家であるため、州の権限が非常に強い。共和党を中心としたオバマケア反対派が知事の州は、オバマケアで定められた医療保険が購入できる保険取引所の設置を拒否したのである。

 そこで連邦政府は、そのような州の市民が医療保険を購入できるよう、連邦政府が保険取引所を設置した。一方、オバマケア反対派は、医療保険の購入で政府から補助金を受け取れるのは、各州が設置した保険取引所(オンライン)を利用した人に限定すべきだと主張。連邦政府が設置した保険取引所(オンライン)での医療保険の購入した人は法律違反だと訴えた。6月に下された連邦最高裁判所の判決は、この是非をめぐる争いだった。

 実は、この問題は、2014年7月、2つの控訴裁判所で真逆の判決が下されたため、最高裁に持ち込まれていた。補助金は、低中所得者層の保険加入に大きな役割を果たしている。もし非合法の判決が下されていれば、600万人以上が補助金を失い、オバマケアそのものに大きな打撃を与えていたことだろう。

低所得者層に補助金をばらまいて強制的に民間保険を購入させている

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