皮脂腺の密度がシワが目立つ原因に cba/PIXTA(ピクスタ)
加齢とともに増える「目尻のシワ」や「笑いジワ」は、肌の老化現象の代表的なものだ。 "人生の年輪"とも称される顔のシワは、男性の場合、歳を重ねた魅力として好意的に解釈されることもあるが、多くの女性とっては"加齢の象徴"だ。
その気になる"シワ"について、7月1日の『Clinical Anatomy』(オンライン版)に「一部の皮膚のシワが他よりも目立つ理由」に関する洞察が掲載された。鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の田松裕一氏率いる研究チームによる報告によると、「皮膚の下にある皮脂腺の違いで、目尻のシワよりも額のシワが浅い理由を説明できる」という。
[an error occurred while processing this directive]今回の研究では、顔のシワに関連する因子を探るため、20~90代の日本人(58人)の死体から皮膚検体を採取。額および目の周りのシワの深さ、腺の密度、真皮の密度を調べた。その結果、額領域では皮膚の下にある皮脂腺が多いほどシワが浅かった。
額よりも目尻のシワが深い理由は、目尻に皮脂腺がないためだと説明できるという。また、腺の密度が濃いほど真皮層(皮膚の第2層)が厚いこともわかった。
シワを増やしたくない人は「生活習慣の改善」を
研究グループは、この研究が最終的に"シワ取り治療"の発展につながることを期待しながらも、シワの深さを左右する因子はほかにも多数あると認めている。また、今回の研究は日本人の皮膚にのみ着目したもので、ほかのタイプの皮膚にも同じ傾向がみられるかどうかは不明だという。
米ウィスター研究所(フィラデルフィア)助教授のAshani Weeraratna氏も、「人種によりさまざまなシワがみられ、シワの少ない人種もいる。そのため、皮脂腺の違いだけが原因だとは考えにくい」と述べている。
また、カナダ・トロント大学のNitin Chauhan氏は、今回の知見が顔の老化パターンに基づく予想に一致するものだと認める一方、シワを増やしたくない人は「生活習慣の改善」に目を向けるべきだとコメント。皮膚の代謝、毒素処理、栄養の送達および皮膚の弾力性の維持には十分な水分摂取が不可欠で、健康的な食事、定期的な運動、十分な睡眠は、最善な皮膚代謝のために重要だと述べている。